カスタマーレビュー

2008年1月11日に日本でレビュー済み
このシリーズの、まるでソフトウェア開発専用であるかのような扱いは、もったいない。およそ「プロジェクト」と名のつく仕事に携わる人はいっぺん読んでみるといいと思う。

アジャイル開発手法が正しいと証明した人はまだいないし、おそらくそれは不可能だ。一方、社会システムの多くが非アジャイルで開発されていて、まがりなりにもうまく動いているわけで、アジャイル陣営は「こっちのやり方でもうまくいく」という事例を積み上げていくしかない。

中でも本書のように「アジャイルの現場の匂い」のようなものを扱った書籍は、実際に自分のプロジェクトにアジャイル開発手法を導入してはみたものの、うまくいっているのか自信が持てないような場合にかなり役立つだろう。

本書では各章の冒頭に、開発者を誘惑する「悪魔の囁き」があり、自分のプロジェクトが「きな臭い」方向に彷徨い始めているのを知るシグナルになっている。一方、各章の終わりには「天使の導き」と、プロジェクトが満たされているべき「香ばしいフレイバー」とも言える「こんな気分」という一節があって、正しい方向に進んでいるという確信を得られるようになっている。もちろんこの「正しい」は先人たちの経験の積み重ねにすぎなくて、証明されたものではない。それでも、道に迷っているときに、誰かが歩いた痕跡を見つけられたら、そりゃぁ安心だよね。

本書は、まだまだ何が出てくるかわからないアジャイルのジャングルに、恐る恐る分け入ってみた勇気ある人々のための道しるべだ。ソフトウェア開発者なら、直感的にアジャイル手法が正しいと感じることが多いだろうが、それでも自分の進んでいる道が間違ってないことを一緒になって確認してくれる、心強い友人のような存在として、そばに置いておきたい。
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