カスタマーレビュー

2014年1月29日に日本でレビュー済み
これだけ簡潔に物足りないほどあっさり、しかし記憶に残るフレーズをちりばめるのは並大抵のことではない。前作『小さなチーム、大きな仕事』が小規模の組織運営がいかに優れているかを通じて経営哲学や人生哲学を語ったのと同様、今作でもリモートワーク(従業員が同じオフィスで働かないスタイル)を通じて『働く』とはいかなることか『生産性』をどうしたら最大化できるかを知的に痛快に断言し続けてくれる。主張されている内容に初見のアイデアは実は少ないし前作との重複も多々。ただそれが本書の価値を下げないのは、ひとえに彼が経営する組織が、本書で欠かれているスタイルを長きに渡って地で行きながら、大きな実績を上げ続けている信用を有しているからだと思う。
記憶に残るフレーズをざっと挙げると、「スウェットの快適さは人間工学の極み」(P139)、「頭脳労働者のモチベーションを引き出す唯一の方法は、楽しい仕事を、楽しい仲間とやらせることだ」(P237)、「職場で存在感をだすには2つの方法がある。ひとつは、騒々しくすること。もうひとつは、仕事でぶっちぎりの成果を上げることだ」(P253)といった具合。これらは抜粋中の抜粋で、一冊通して数ページごとにこんな歯切れよい一言が矢継ぎ早に続く。
いかに旧態依然のオフィスワークに無駄が多いかを一刀両断していく章も決して論破に終止した好戦的な姿勢ではなく、今やほとんどのサイトで見かける「よくある質問」のように、回答している体で当該商品(サービス)の特徴や優位性を論理的に語っているひとつの手法で非常に読みやすい。随所に挿しこまれているイラストも過不足や違和感なく、読者のテンション(気分)を巧みにコントロールしてくれているようでやたら心地よい。37シグナルズが世界有数のクリエイティブ集団であるのを裏付けるように、さりげなさの中に考え尽くされた工夫があり、削ぎ落としきった核心だけがこの一冊なのだろう。自己啓発本の類をよく栄養ドリンクに例える方がいるが、この本は、鮮度最高で栄養満点、おまけに洒落たイメージで人にも話したくなるグリーンスムージーだ。
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