上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0元警察官が描く警察漫画の臨界点
2022年2月22日に日本でレビュー済み
本誌で1週ずつ何度も読んで衝撃すぎて次週の予測や考察が止まないような伊賀崎警部補の胸襟編でしたが、改めて一冊になっても尚その衝撃と緊迫感は冷めやらず、情緒乱される圧巻の一冊となりました。
正直事件だけで見ればこれまでのハコヅメ通り、刑事ドラマみたいな派手さはありません。
ですがやはり実際に現場を経験したり身近にそうした話があった元警察官が描くことで、細かな事件の流れやそれぞれの心情など、この漫画はただの創作とは言えない説得力を持って凄まじい臨場感を産み出してくるので、ほんと情緒がジェットコースターです(語彙死)
これまで積み上げられて来たキャラの関係性、一人一人の立場や物語が綿密に絡まって、事件が派手でなくともしっかり骨太な話に盛り立てられるのは、本当に作者さんの才能ですね。
ハコヅメは異世界転生ものではありませんが、作者は前世生かしすぎ才能凄すぎで異世界転生してると思います。
またハコヅメはただエンタメ作品として描かれるだけでなく、根底には作者さんの警察官を知ってほしい、警察官が増えてほしい、激務からの不幸を減らしたい、職場を良くしたい、警察官たるものは多少性格歪んでても芯はこうであってほしいと言う想いがそこかしこに溢れてるようにも思います。今巻も色々と知って考えさせられる良い巻となりました。
私たちは普段からこう言う事件やこれ以上に悲惨な事件を度々目にします。
今後はその度に今回の中冨課長のような、或いは源部長、また川合、そして伊賀崎交番所長のような立場で動いてくれる人が居ることに思いを馳せて行くと思います。
今巻は別章アンボックスに続き元警察官としてかなり踏み込んだ内容でしたが、描いてくださりありがとうございました。
最後に今巻読んで振り返ると面白い箇所を1箇所紹介したいです。
7巻その57『公妨で攻防』で伊賀崎さんがサボりの極意を山田に説いて“なんて真っ直ぐな目をしたクズだ”とされる下り、元々はギャグのページでしたが、フォントが強調されてない部分に伊賀崎さんの真意が見て取れます。
こう言うさりげなさ、知って読むと印象が変わるシーン、この漫画の醍醐味ですよね。
※誤植情報(kindle及び紙で確認)
後に修正されると思いますが、1箇所誤植があります。
その169 伊賀崎警部補の胸襟② 「伊賀崎さん女の子の部下できたんだよね」のくだり
正しくは伊賀崎ではなく塩谷との事です