上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.02008年の続きが読みたかった…
2020年12月22日に日本でレビュー済み
※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります
2008年に掲載の第十話で連載が中断,そこから十二年の空白を経て,2020年に再開,
第十二話まで続いた後,書き下ろしの最終話を加えて,待望の完結巻となりましたが,
バトルは終わり,話を畳むところからとなり,こちらもそのあたりを意識しすぎたのか,
どうにもそれまでのヒリヒリとした,緊張や興奮といったものが薄れてしまった印象です.
また,この結末自体は悪くないのですが,そこへと至る流れがいささか大味に感じられ,
重要そうに見えた人物のやや雑な扱いなど,駆け足気味の終盤には物足りなさを覚えます.
ただ,最後の様子を描いたイラストは素晴らしく,締めの台詞ともにやさしさが広がります.
このほか,新型ウイルスの件をはじめ,2020年あたりの世相や言葉がチラホラと見られ,
ブラックやコンプライアンスを口にする彼らには,言葉にはしづらいのですが違和感が….
キャラクタややり取りも,当然に今の西尾さんで,再開の前後では雰囲気が違って映ります.
「2020年の今だからこそ辿り着いた最終巻」と,『あとがき』で触れられていましたが,
もしも連載が止まらず,2010年あたりで終わっていればどうなっていたのか,少し複雑で,
『赤き時の魔女』のように時間を跳び越え,そちらの結末も読めたらと考えてしまいました.