上位の批判的レビュー
5つ星のうち2.0典型的異世界英雄譚
2020年12月29日に日本でレビュー済み
コミックを6巻まで読みました。以下、否定的なことを書きましたのでご注意ください。
他の方と違い、典型的な異世界転生英雄譚と感じました。現実世界の引きこもりが死後、異世界に転生し、英雄に育てられ、旅立つ前にラスボス級の神の化身を倒せるほどのチート級の力を手に入れて、その力を使って周辺の悪魔を退治していくお話です。
親と子の絆を描いた場面には感動しましたが、それ以外は特に印象的ではありませんでした。手に入れた力で街を助け、人々に認められ、強いモンスターを倒し、領主の目に止まり、騎士の称号を手に入れ、英雄としての地位を築く。無欲な主人公はそんなものを気に留めることもなく、ただただ人々を救うために奔走する。そんな主人公に惹かれた冒険者達にも次第に認められ、皆で悪魔を成敗して酒場で大円団。主人公の困難な冒険はまだ始まったばかり・・・というただ周りの人に承認されたいという欲求が形になった物語です。テンプレートからはみ出したところが一つもありません。
仲間と力を合わせて、問題を次々と解決していくので、読んでいて爽快感はあります。登場するキャラクターも嫌味が無く好感が持てますし、嫌な人間も出てきません。とても気持ちの良い優しいお話ですが、想像の範疇を超えない。なろうだからそれでいいのかもしれませんが・・・
蛇足ですが、なぜ異世界転生の物語が好まれるのでしょうか。親との絆や英雄を描くなら、現実世界でも、例えばオリンピックメダリストの両親に英才教育を施された子供が、ある競技で前人未到の業績を成し遂げる話などでも良いと思うのですが・・・死んで生まれ変わることで現世のしがらみを断ち切り、強くてニューゲームをするためでしょうか。異世界にすることで、引きこもりやそれに共感する子どもたちに、自分にもワンチャンあると思わせて良い気持ちにさせるためでしょうか。それとも作者が取材することなく、想像で自由に設定を決められるからでしょうか。
否定的なことを書きましたが、物語を創造できるということは尊敬に値すると思います。今後面白い展開になることを期待しています。