上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0大満足のおいしさ
2020年9月24日に日本でレビュー済み
先日、魂抜かれるほどの名作に出合ってしまい、どんな新刊読んでもそれを越えられずナウシカみたいな顔で「誰が世界をこんな風にしてしまったのでしょう…」としか言えなくなってたんですけど、腰乃先生の続編が出てて助かりました。
やっぱりね、いろんな国のおいしいもん食べてきたけどやっぱり最終的には和食ですよねっていう、そういうことです。ええ。無事、初心に帰りました。ただいま。
そんな日本人の主食こと腰乃先生が描く、ついに完結編の名作。めちゃめちゃ頼り方がわかるようになってくれてうれしいです。
2巻でめでたく通じ合えたような2人でしたがそんな簡単にはいかない。なんだか煮え切らない清宮さんに戸惑う牧野さん。
自分の性を自覚してからこれまで、報われない不毛な恋をしてきた清宮さんの過去が切なくもコミカルに描かれています。
対照的にどんどん回復して明るさを取り戻した牧野さんがどんどん積極的になってストレートに言葉をぶつけていてかっこよすぎてなんだこいつって思いました。感動すら覚える回復ぶりです。でもそこまで支えてきた清宮さんの気持ちを1度読み終わってから考えるとまた切ない。
人生に疲れていた男と、ただ恋がしたかった臆病な男が、カッコ悪く不器用にぶつかりながら求め合って、みなさんご存知の、愛に至る。
は~~~~~~~~~~~これだから愛は。そりゃ地球も救うわ。
腰乃先生は形容しがたい感情を独特の表現で描く天才なので、ひたすらワタワタしてジタバタしてぐるぐる考えて大忙しでスマートさや色気なんて皆無の二人がとても楽しくて愛おしい。こっちが恥ずかしくなるほど感情丸出しです。
BL読みすぎてマンネリしてきたとき、ドロドロのBLに心が病んだとき、元気ないとき、つらいとき、かなしいとき、あとなんか……別に特になんもないときでも、読むと元気になるしやっぱBL最高となる、そんな心のふるさと本です。ご賞味ください。