上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0ブラックホールと宇宙、地球、宇宙人についてユーモラスに解説した宇宙本
2020年1月4日に日本でレビュー済み
2017年4月に楕円銀河M87に存在する超大質量ブラックホールを観測。2019年4月10日にそのブラックホールの撮影に成功した事を発表したEvent Horizon Telescorp(EHT)の日本側の責任者で、国立天文台水沢VLBI観測所所長・教授の本間希樹先生の著書。
イラストは国立天文台水沢VLBI観測所のある岩手県奥州市出身で「伝染るんです。」「ぷりぷり県。」「出かけ親」等の作品で知られる漫画家の吉田戦車さんが手掛けています。
本間先生はこの本でブラックホールと宇宙、地球、宇宙人について解説。分かりやすい言葉を使っていてユーモラスで面白い内容になっています。全漢字にふりがな付き、全ページがオールカラーで多くのイラストがあり、子供も大人も楽しんで読む事ができます。M87の超大質量ブラックホールの写真も掲載されています。
タイトルにあるブラックホールについては「何でも吸い込むのは重力が強いから」「ブラックホールに入ったらどんな物質も光も出る事はできない」といった事は勿論の事、「ブラックホールは食べれば食べる程、太る」とか「ブラックホールのゲップ(ジェット)が銀河を作り出した?」「ブラックホールは共食いする」「ブラックホールは飲めば飲む程、明るくなる」「実はブラックホールは、宇宙で一番明るい天体だった」「ブラックホールは宇宙最強のエネルギー製造機」等のトリビアが出てきます。ホント、タイトル通り、ブラックホールは凄いやつです。
他は「流れ星は彗星の”落とし物”」「宇宙にある全てのものは同じ『種』から生まれた」「近い将来、宇宙人が作ったドラマやアニメが見られるかも」「地球が1日24時間になったのは全くの偶然」・・・・等々のトリビアが出てきます。
戦車さんのイラストも良いです。本間先生は勿論、彼のアシスタントの宇宙田くん、ブラックホールや地球、犬等のキャラクターも、シュールな宇宙人も登場します。
第2章「偶然すぎる地球の話」で恐竜好きだった戦車さんによると、昔読んだ恐竜絶滅説の中に「哺乳類犯人説」というのもあったとか。これは初めて知りましたね。
第3章「ありえないブラックホールの話」に悪い宇宙人がブラックホール砲を発射し、正義の人等もブラックホール光線で反撃するという漫画が出てきます。ブラックホールさん曰く、「・・・短い一生を大切に使わんか このバカ有機生命体どもが!」。その通り!
巻末にはブラックホールと宇宙に関するお勧めの本も登場。本間先生の著書「巨大ブラックホールの謎」(講談社ブルーバックス)や大須賀健先生の「ゼロからわかるブラックホール」(講談社ブルーバックス)、George Gamow博士の「不思議の国のトムキンス」(伏見康治さん:訳 白揚社)、谷口義明先生の「宇宙はなぜブラックホールを造ったのか」(光文社新書)、Janna Levinさんの「重力波は歌う」(田沢恭子さん・松井信彦さん:訳 ハヤカワ文庫ノンフィクション)等がお勧めです。
この本を読んで、もっとブラックホールや宇宙について知りたいと思ったらそれらを手に取ってみると良いでしょう。