上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0バルト海戦役 というより アイスランド出航以来の諸々の大団円
2019年6月21日に日本でレビュー済み
主人公トルフィンとその父の仇大本命であるフローキとその孫バルドルが絡む部分の決着に感心。バルドルはヌートみたいにはならないわけねと。さらにトルフィンと殺し屋ガルムの絡みも見事に決着。それに加えてトルフィンとシグルトとグズリーズの三角関係も決着がつきそう。出航時の目的地だったギリシアはまだずっと先だが、それでも一段落という印象の22巻。トルフィンは近代的な人間尊重概念を順調に進歩させていく。ヨムスボルグの南門の戦いで死んでいく無名戦士のモノローグはトルフィンのような近代的な死生観を裏打ちしていく。一方でトルケルはヴァルハラやヴァルキリーを信じる世界の価値観を体現しているように見える。しかし、それでも卓越した戦闘能力を持つ個人として戦いを愛するという形式において、共同幻想を信じて戦士を自己目的化する人々とは一線を画している。そうであるが故に巻末のトルケルの選択が作品世界での整合性を持ち得る。などと考えると次がさらに楽しみ