上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0認識してしまった感情の行方
2019年5月1日に日本でレビュー済み
――― こいつを受け入れたら 俺は俺という人間を手放さなきゃならない ―――
この言葉にできない関係の物語が終着に向かっているのが伝わってきて寂しさを覚えながら読みました。
言葉少なで不器用な男への特別な想いを自覚し、怖れを抱いた矢代のじわりじわりとしたセリフがなんとも
印象深かったです。
三角と平田、彼らを取り巻く面子にも大きな変化のあった6巻でした。
巻末の描き下ろしは、病院の屋上での百目鬼と七原のシーンです。
以下、内容に触れています。
矢代は一線を越えて眠る百目鬼を捨てるように出てゆきます。
平田の子飼いだった便利屋達に置いてきた車を取りに行かせたところで百目鬼に捕まり矢代の元へ案内させます。
竜崎がパクられ幹部と共に破門、松原組は解散となる中で、過去のシーンに。
まだヤクザになる前の矢代に三角が見張らせていた女の名前は「ともこ」(!!!)。
そして三角は長年探していたともこの母親に会います。
竜崎の女を助ける手助けをした鮫たちと別れて七原達と合流した矢代。
一方、平田と共謀していた豪多組の仲本は直参を後押ししてくれた叔父貴から平田と手を切るように言われて
杯を貰う話も反故になってしまい、まだ事情を知らない平田から金を搾り取ろうとします。
三角のゴルフ仲間であり、旧知の仲でもある天羽が取り次いだ三和会本家の舎弟頭で桜一家の組長・綱川が
真誠会の内輪揉めに関わるなと直系に情報を流していると掴んだ平田は三角の意志を知り、仲本と幹部を
殺してそれを矢代がやったことだと情報を流し、その上で三角に改めて今回の件は全て矢代が起こしたこと
だと報告します。
平田の矢代への憎しみに気づきながらも、矢代を恨んでいる暴対の井波が動いて警察の方からも矢代の犯行と
されてしまいます。
影山の所に豪多の残党が真誠会の事務所に報復として撃ち込み、脚を撃たれた杉本が駆け込んだことで自分が
ここにいることで危険を感じた矢代は便利屋に連絡を取って七原たちを残してゆくのですが、そこに迎えに
来たのは百目鬼で。
窮地に陥った矢代の前に現れた百目鬼。
突き放そうとしても「あなたの側を離れるつもりはありません」と言い切る百目鬼に更に冷たくあたる矢代
ですが―――。
貸金庫から全て引き上げさせていた平田を便利屋が急襲します。
百目鬼の脚を撃って単身で便利屋が捕らえた平田のところに行く矢代。
そこで平田の拘束を解かせた矢代は彼の過去と核心を突いて激高させます。
全てを失った平田に 鉄パイプを振り下ろされながら抵抗しなかった矢代は生きることを終わらせようと
するのですが、駆けつけた百目鬼が撃たれたのを見た矢代は平田を石で殴った後、自身が頭を殴られて倒れて―――。
矢代と百目鬼が病院に運ばれ、平田自身が一番望まぬ形で彼を”処分”した三角が道心会四代目を襲名します。
百目鬼のことを覚えていない振りをした矢代、そしてそれを諦めた顔で了承した百目鬼。
彼らの糸がどう絡まるのか、とてもとても楽しみです。