上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0風評に流されるべきではない作品
2022年3月3日に日本でレビュー済み
異世界転生した料理好きの主人公が遊牧民の草原エルフに匿われる。
エルフたちにはまともな食文化が存在しないので
(自身が食えるまともな料理を食べるためという理由も含め)食事を作る話。
縫製や酪農があり、パンや鍋は存在するのに
食文化だけは発達していないというご都合要素に目を瞑れば面白く読める作品。
窯の火力が足りない→煮る料理を作る→材料から水餃子、
パンがある→小麦はある→麦から水飴を作るなど、
今の有り合わせの材料や環境、直面している問題に応じて作れる献立を試案し
調理工程を動きのある絵で表現しているので面白みはある。
また、主人公は美味い料理を作れるという点を除けば何もできないポンコツで、
元の世界への郷愁や帰れないことへの落胆、
この異世界で命を落とした他の転生者への同情、
今の『家族』である草原エルフたちとの絆や生活、
何より、皆に自分の料理で幸せになって欲しいという行動指針があり、
単純に人格的にいい奴として描かれているので
異文化を見下しているとかイキっているというタイプの作品ではない。
予想もしない方向に話がブッ飛んだりもするので料理以外でも飽きない。
少なくとも、昨今粗製乱造されるなろう出身の駄作群や
無理矢理アニメ化に漕ぎつけた糞作品と比較する水準には無い。
酷い作品になると現代人が作った一話のエルフのような雑な料理が
美味い美味いと大絶賛され、ついでにチート能力も貰えるような
糞作品が蔓延っている現状では間違いなく良作の部類であるだろう。
漫画的にも絵が上手く読みやすさも併せ持っている。
とりあえず一巻で空気が合うなら読んで後悔はないという塩梅の作品。