上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0面白いじゃん。何が不満なのだろう?
2020年10月26日に日本でレビュー済み
「ここではないどこかの世界で地上最強の男を決める戦いが行われていた」…という冒頭のモノローグの日本語がおかしい気がするのだが、その先を読んでいくと本作はギャグ漫画なのだとよくわかる。
地上最強になったことでギルド長の娘である女戦士との結婚を認めてもらえた主人公、だが最強の男の遺伝子をいただこうとオーガやエルフの女子たちが主人公に肉体関係を迫ってくる。そして主人公は欲望に抗えずに次から次へとヤってしまう。主人公が言い訳を重ねて被害者ヅラをするとそこに”被害者面”のテロップが入るのでこの主人公がろくでなしのクズであるというのを作者は確信犯で描いているのだと解る。
そうなんである。ハーレム漫画の主人公はろくでなしのクズなのである。ところが勉強ができないあれとか花嫁が五等分されるあれとか、幼い頃の約束のあれとか、ハーレム漫画の主人公連中は何故か誠実な男のように気取るのである。これは「複数の女に愛想を振りまきその気にさせてもセッ○スさえしなければ純愛なのだ」という出鱈目な理論に基づいているからである。セッ○スをしないこと=純愛、という男のご都合主義全開で女性を舐め腐った理屈なのである。「先っちょしか挿れてないからヤってない!」みたいなモンである。
上に挙げた漫画と本作の主人公の違いはヤったかどーかというそれだけの差である。ヤラないのは単に性欲が希薄なだけだろう。自分はこれを勝手にEDハーレムと呼んでいる。ヤるだけこの漫画の主人公のほうが潔いというものである。みんなそういうハーレム漫画を楽しく読んでるのになんで本作には怒るんだろう?自分が喜んで読んでるハーレム漫画は女性を舐め腐ったクズが主人公の漫画だという事実に目を背けたいだけなのでは?本作のヒロインが可哀想?ハーレム漫画なんて女子の気持ちを踏みにじるのをご都合主義で正当化している漫画しかないじゃん。ヒロインの紹介文が「誰しも憧れるルックスを持つ~」で始まるのも最高。愛だなんだとほざいても相手の女子に先ず求めるのは所詮ルックスっていう。ハーレム漫画なんてそんなモン、って解って描いてるのだねこの作者は。そこを自覚的なぶん、本作の方が遥かにマシである。
ドラクエお馴染みの”あるものは歌い、あるものは踊り~そして夜が明けた”のモノローグの後に朝チュンしてたり、勃起が収まらないとどうなるかの説明だけやけに具体的だったりなど、ギャグも結構笑えるじゃないか。ギルドの名称が「ヤケッパチ戦士ギルド」の時点でこの漫画はふざけ倒しているだけなのだと解るのだが、そこに誠実ぶってる連中もこの主人公と大差ないのだという皮肉が効いていていいと思う。君が好きなハーレムラブコメ漫画は純愛でもなんでもなくて、本作とまったく同じなんだよ!と、言外に伝えているのである。