上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0押井守はかく思へり
2017年12月26日に日本でレビュー済み
タイトルが面白い。タイトルから一瞬、情報社会への対応の仕方
メディアリテラシーの本かと思いきや、そうではない。
押井守の人生論・物の考え方が書かれている。
一見タイトルと関係無い話が書かれてるように思うが
1-4章まではこの「信じない」がポイントとなっている
1章 幸福論:ハッキリとした具体的な形の幸福があるなんて「信じない」
2章 仕事論:自分に合った理想の仕事があるなんて「信じない」
3章 ニセモノ論:ネット・メディアの情報は所詮嘘(不正確)なので「信じない」
4章 政治論:政治家が万能・清廉潔白であると「信じない」
ザックリこんな感じ。「信じない」のは良いとして、ではどうするか?
そこで大事なのが押井曰く「優先順位」なのだそうだ。
何が自分にとって大事なのか優先順位を付けて、順位の高いものをやれ・信じろと。
さすれば道は開かれん、と。
これは以前読んだホリエモン本にあった「考える=問題を単純化すること」にも通じてる。
賛同するしないは別として、下手なボンヤリとした幸福論、その他xxx論に比べたら
かなり分かりやすいし、色々考えるのに参考になるかも知れない。
ただ、やや問題なのは、「各々で優先順位を付けろ」と言っておいて、
押井自身が勝手に優先順位を決めつけてる感があるところ。
例えば、実際の女性よりもアニメの女性を好む方を優先順位を高くした人がいるとする
言われた通り優先順位を付けたのだから、それはそれで認めるべきなのに
押井はこれに対しどこか否定的な雰囲気。
「そんなことより彼女作って結婚して子供作った方が幸せだろう」
「アニメの女に恋して得られた幸福なんてたかが知れるだろう」的な固定観念が
チラチラ見えるのが残念である。
また、優先順位は1度決めたらそれで終了ではなく、その都度更新する必要があるそうだが、
適切な優先順位の選考にかなり悩まされそうである。
5章人間論、6章映画論はもう完全に押井守の考えを述べてるだけ。
私個人としては正直「どうでも良い」という感じ。
このあたりは読む気が大分失せてた(頑張って読んだけど)。
全体的には「押井さんはこう考える」という本。
押井守をよく知らない私でも4章までは楽しく読めた。
また、様々な引用から「アニメ映画監督っていろんな本読んでるのね、知識あるのね」と。