上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0BLというジャンルで括る必要のない素晴らしい作品!!
2020年2月6日に日本でレビュー済み
BLというジャンルで括る必要のない、普遍的な「人間の愛情」を描いた素晴らしい作品です。
実在の人間の容姿や記憶を取り込んだ違法なヒューマノイド「アラタ」を、友人から譲り受けたマキ。アラタは、マキにとって決して記憶から拭い去れない恋人「レン」と生き写しの容姿と記憶を取り込んだヒューマノイドだった。
自分を残酷に裏切ったレンへの屈折した感情をアラタにぶつけるマキだったが、瓜二つの容姿を持ちながらレンとは違う内面を持つアラタに、マキの心は次第に動かされ——。
かつての恋人と容姿の酷似するヒューマノイドへのマキの憎しみに近い執着が、そのヒューマノイドそのものの持つ「個性」の清らかさに少しずつ揺り動かされ、やがて過去の辛い感情と向き合い、苦しみから解放されていくその経過が、痛みを伴うほどの繊細さで描き出されています。人物たちの心情を映し出す瞳と眼差しの表現が素晴らしい。胸に深く突き刺さるようです。
人体も、ルネサンスの絵画のような芸術的な美しさを醸しており、どのシーンも作品を描く深い情熱に満ちています。
読み手の心を間違いなく深く揺さぶる、素晴らしい作品。一人でも多くの方に出会って欲しい、そう思わずにいられない作品です。