上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0歴史表現の齟齬をどう飲み込むか
2020年5月18日に日本でレビュー済み
基本的に面白い。さすが超大ヒットしただけはある。バストアップの絵にセリフくっつけたコマを適当に並べたのが漫画だと思っている大量生産されてる粗悪な漫画もどきとはくらべものにならない。完成度の高い漫画という高度なエンターテインメントを久しぶりに読んだ。
だが、連載していたのが70年代とかなり昔なこともあって、歴史描写に疑問を感じることも多々あった。
特に世界最初のテロと言われているフランス革命を美化してるのは辟易する。
独裁者ロベスピエールが、苦学しながら自由を求める好青年として書かれていたり、ルイ十六世が愚鈍で低身長な太った姿ってのも、現在わかっている彼の姿と全然かけ離れてる。(ルイ十六世は190以上あった)
もちろん、現在ほどフランス革命やマリー・アントワネットに対して研究が進んでなかった時代だったので仕方ないし、ある程度歴史的齟齬は諦めて読むのが正しいのだろうが……それでもこれを「フランス革命のバイブル」と過度に崇拝するのはおかしいと思う。
気にならない者はいいだろうが、フランス史を習った自分は読んでいてモヤモヤした。よってこの評価です。