上位の肯定的レビュー
5つ星のうち4.0実録!落ちていく人の条件
2011年7月11日に日本でレビュー済み
きわめて秀逸なハケン社員ルポ、またそれだけでなく、岩淵氏本人の生き方、今の日本の労働市場の中で、このような学生生活をおくるとどうなるか 特に落ちていく人の行動類型をここで見ることができる 岩淵氏本人の学生時代の甘い考え方、それによる借金、それを原因とする就職の失敗、その後ハケンとして働く中での一般社会から逸脱した人々との出会い、ハケンに流れてくる人のある類型特にその人間としての問題点とハケンという働き方に対する考え方など なかなか赤裸々な落ちっぷりの記録。近年のいわゆる格差社会の犠牲者というようにこの岩淵氏を悪用する人たち(雨宮かりんとか)はかなりかたよった見方をしているんだなあとおもってしまう この人は弱者ではない 後半自らの意思でハケンをやめ(特に次の仕事のあてもないのに)、映画製作のため叔父に高価なPCを買ってもらいひきこもる、そして出来上がったハケン映画がもちあげられる この本の後日談としては、tvのADの職を得るチャンスを得ながらすぐやめてしまい彼を支持していたそっち系の人々からもあきれられてしまう、その後ヘルパーになったそうだがまさかそれもやめていないだろうか 確かに若者はいろいろなものにぶつかって、失敗して成長する機会が必要だ その時間や場合によってはそのための出資も必要だ、できればそれらは国の補償で、、というふざけた、わがまま極まりない贅沢な主張は少なくとも岩谷氏はしていない、自分がこうなったのは自業自得とダブルワークのきつい毎日をおくる記述もある それはまるで極限に置くことで生きている実感を欲しているようだ 実は私も似たような毎日を送っていた過去があり岩淵氏の考え方や行動に共感してしまうやっかいな感情がある ぜひ社会に出る前の若い人たちに読んで欲しいと思う この本をおもしろいとおもった人には、増田利明氏の”今日から日雇いになった”などがおすすめ