上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0もっと難しいんじゃなかったかな?
2005年1月19日に日本でレビュー済み
『すべてがFになる』の漫画化作品を読んでいたので、続編として購入しました。
確かに「そこらへんにはない絵」ではあって、その意味ではすごいと素直に感心するのですが、ストーリーの面で端折ってあるところが多すぎるのが不満です。
あれ、こんなんだったっけ?もっと難しいんじゃなかったっけ?これじゃごく普通の「推理マンガ」じゃないか。
そういう印象でした。
魅力的な人物がいて、事件がおきて、調べたら奇妙な点が見つかって、空前の謎にみんなが頭をひねって、過去の出来事や人間関係の中からヒントと新しい謎が同時に見つかったりして、でも最後には我らが主人公がそのものすごい頭脳で謎をすっぱりと解く!
うーん、なんか違うなぁ。
この作品の原作小説の面白いところはそういう「王道」「約束」「お決まりの展開」の部分ではなくて、次々に仮説が立てられては捨てられていくそのプロセスだったはずです。
間違いだけれど魅力的な「別解」が生み出されては「それはここが間違いだよ」と指摘されて消えていく。そのいわば「科学の実況中継」がエキサイティングだったのに、漫画ではそれが少なすぎたように感じます。
もちろん、僕の判断には個人的な嗜好が多分に含まれているでしょう。また、そんなのを漫画で表現するのは技術的にとても難しいことなのだろうとも思います。端折られたのは漫画化にあたって賢明な判断だったのかもしれません。
しかし、だとしても「惜しいなぁ」という感じがぬぐえないのです。
とはいえ、十分面白いので評価は星3つ。