カスタマーレビュー

2012年4月28日に日本でレビュー済み
「35ans」シリーズだけの評価としては、ストーリーもキャラクターも今風じゃない、ニーズに合わない、という感じがします。
完結の6巻の内容は、いっそ全体的な辻褄合わせでしかない。
5巻でせっかく提起された問題も、あっというまに収束してしまい、35歳前後の男女の心理を描くものとしては、軽すぎるように感じました。

それはそうとして、『月の夜星の朝』の、りおと遼太郎は、リアルタイムで読んでいた頃の私にとってはアイドルなので、続編が連載開始されたと知るや、世界の色が変わったくらい、嬉しかった、続編にわくわくできたことに、まずは心からお礼を申し上げたく思います!

「花とゆめ」「LaLa」系統の、漫画として完成された作品が次々に出現してきた時代において、「りぼん」に掲載されていた、『月の夜星の朝』は、平凡なマンガで、ストーリーといったって、幼い頃に結婚の約束をした男女が、同じスポーツを通して再会、お互いに容姿が美しくなっていて、性格も良くて、あらためて恋におちて、誤解から別れることもありながら、やっぱりお互いしか見ていなくて・・・と、いわゆる「王道」の展開、絵柄もいかにもな少女漫画なので、同じ時代を過ごした、私の同級生たちは、こうした物語を見下げていたのではないか、と思います。

ですが、一時期の少女漫画って、極端な展開が多かった。既に「物語」を楽しめる読者はいいのですが、まだまだ「恋に恋する」ことに恋したい、という、幼い感性の読者は、「ドジでノロマな」泥臭い努力家や、不幸すぎる主人公や、やたらと明るく気が強い主人公には、感情移入しにくかった。
『月の夜星の朝』の、りおは、強すぎず弱すぎず、平凡すぎず非凡すぎず、側にいてもおかしくないけれど、側にいたら憧れるしかない、というキャラクターで、こういうの、実はけっこう貴重だったのかも? と思います。
読者は、りおに感情移入できたら、そりゃ幸せですが、たいていは親友の麻衣ちゃんや、ライバルの小鹿さんの目線から、りおに憧れつつ「可愛い子は得だね」と軽く嫉妬し、芯の強さを見て「可愛い顔して、やるじゃない、そうこなくっちゃ!」とやっぱり大好きになる。
つまり、遼太郎の魅力より、りおの魅力がいちばんだったのかなあ・・・と。

なのに「35ans」で大人になったりお、弱すぎる。泣き虫で、側にいる誰かに、すぐによりかかる女の子、その段階は十代の頃クリアしたはずでしょ〜?という文句が、どうしてもありますね。どれだけ美人でも、30代女性の魅力って、そんなところにはないでしょうし、人生に傷つきへこたれながらも、麻衣ちゃんのように、きっぱりと前を向く、そういうキャラが本田恵子さん描く漫画の魅力では、と思うのに、なぜか「35ans」で、りおは退行しています。周囲の男性たちが、傷ついたりおの、心の隙間に入ろうと画策するのは、あたりまえの戦術としても、りおの行動が、どうも、いただけない。
あと、こうした「続編」では、想い出のキャラクターたちは、みんな幸せになってもらいたい、それはそうなんですが、「幸せ」=「結婚」ばかりでは、ある意味、夢がない。

しかし、それはそうとして、当時のキャラクターに、現在もまったく違和感がなく読みやすいこと、あの頃の彼ら彼女らは今も幸せですよ、だから当時の読者、みなさんも幸せでありますように、といったメッセージが、しみじみ感じられること、良い物語だな、と思いました。
なので、思い出と私情、あれこれプラスしての、☆4つです。
54人のお客様がこれが役に立ったと考えています
違反を報告 常設リンク

商品の詳細

5つ星のうち3.6
星5つ中の3.6
10 件のグローバル評価