カスタマーレビュー

2020年12月10日に日本でレビュー済み
題名さえ変えれば。それくらいレベルが高い。

この巻までの感想。アンリミテッドで読めたからうっかり読み始めたのが運の尽き。たちまち全部買ったしWebで最後まで読んでしまった。その凄まじい出来に戦慄を禁じ得ない。こんなすげえ作品がアマチュアの投稿作品として無料で読めてしまう国は多分日本だけ。もちろん書籍化に伴い補筆や見直し美麗なイラストが加わり完成されるから、Webを読んでても買うべきである。

異世界転生ものではあるが、キッチリ組み上げられた世界観と骨太な構成、繊細なストーリーを持つ、圧倒的質感を持つ本格ファンタジーである。こんな手触りさえ感じるリアリティを持つ世界観がただ一人の頭の中から生まれたとは正直信じがたい程だ。プロダクションで色んな才能が寄ってたかって組み上げたと言われても驚かない。その世界観の中、主人公は庶民から一気に世界の頂点目指して駆け上がって行くのだが、それに伴って世界が多面的に表現され一気に展開してゆく。魅力的なキャラクターが次々現れるのに埋没するどころか、それを引っ張り振り回し、更に輝かせる主人公の強烈な個性。解き明かされる謎と伴って降り懸かる運命の中、主人公が果敢に立ち向かい、成長しながら、絆を確かめ、遂に約束の場所へ辿り着いて行く。その大構成の見事さ。洗練されているがライトノベルらしく軽妙で笑いを含み読み易い文章。

どれをとってもケチのつけようがない凄まじい作品である。小説としての完成度は正直、国産大長編小説の中では一番だと信じる。世界の有名ファンタジー小説と比肩し得る。翻訳され世界的大ヒットになり長く評価され続けても全く驚かない。

難点があるとすれば、ロシア文学を思わせる綿密すぎる描写であろうか。ライトノベルなら三行で表現するシーンを三ページ使ってみっちり表現するところはライトノベル慣れしている読者には冗長に感じるかもしれない。しかしこうしないと会議やお茶会は小説として表現出来ないのだから仕方がないのだが。結果としてここまて30冊も使ってエンディングは遥か彼方。Webが完結していて良かったのか悪かったのか。

兎に角圧倒的な作品であり、出会えた幸運に感謝しかない。小説読みには間違い無くお勧めだしファンタジー好きなら頑張って読む価値がある。個人的にはここ三十年で最高の作品として強くお勧めしたい。
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