カスタマーレビュー

2011年2月21日に日本でレビュー済み
作品全体を通して、あらゆる場所にメッセージが含まれているような気がして、とても良かった。これから先の子供に読ませたい作品の一つでもあるし、大人が読んでも良い漫画だと思う。

ハガレンは、命の重さ(?)とかを取り扱っているから、一見人間主体に見えて、その人間の存在など全生命の中のちっぽけな存在に過ぎず、主観だけで語る命の重さは、循環する世界の流れ(食物連鎖も含め)の中にあっては物の数ではない、という冷酷な事実も語っている。しかし、そのちっぽけな一があるから世界がある。作者の経験の中にあるこのメッセージはとても深い。また、それが賢者の石や錬金術の設定に良く描かれていると思う。ひょっとしたら、「お父様」は現代の思い上がった人間を揶揄しているのかもしれない。

人間 vs 人造人間の中で、「人間の定義とは?」という問題が読者に提起されているのが印象深い。
エドは、アルを人間として認めるために魂だけの存在を人間と定義し、それゆえに練成に失敗した「母らしきもの」を人間として取り扱った(ばっちゃんから、エドは人間の定義が広すぎると言われてましたね)。ただの漫画としてみても、これだけでのなかなかの内容だと思う。
さらに、ロイ・ハボック vs ラストの中で、ラストが自分たちを人間だと言った。その時の会話の詳細は割愛するが、自分は、これから先誕生するかもしれない、「限りなく人間に近く開発されたロボット」や「クローン」などの現実的人造人間をどう捉えるか、などを考えさせられた。他にも人造人間が登場する漫画はあるが、自分の中ではこの作品はデカイ。

また、この最終巻の中だけでも、人と人とのつながりを作者が重要視しているのを感じる(勝手な主観かもしれないが)。
特に強烈だと思ったのは、賢者の石という形で自分の中に多数の魂を持っていながら、いつまでも満たされぬ渇きを持って生きてきた強欲が、最後の最後に自分を満たしてくれるものを見つけたシーン。本当に泣けた。行き過ぎた強欲を持っているがゆえに、普通の人間とは違う視点で描かれる、何気ない大切なものをふと気付かせてくれる作者に感謝。

また、強欲も憤怒も(ある意味では嫉妬も)、基本はレールの上の人生ではあるが、最後の最後に満たされることで、良い「死」を迎えているのも印象的。強欲は仲間、憤怒は充実した人生(嫉妬は理解されること)。何より、この漫画の登場人物ってホントに一生懸命生きてる面々ばかり!
一生懸命に生きることがダサいといわれた時期があり、今もひょっとしたらそういう風潮が残っているかもしれない。そこに一石を投じてくれるのがハガレンかもしれない。

バトル物少年誌としては、設定がしっかりしていたのが良かった。本当なら、最後の「お父様」は全ての人間たちをあっという間に賢者の石に出来ていたと思うのだが、異なる2種のものを同時に練成することが出来ない設定(?)が上手く使われていたと思う。マルコーのあの錬成陣をエドたちが使えないのも、陣だけでは術が発動できないという設定がしっかりしているからこそ(素人が陣に触れたところで術が発動しないのと一緒)。

本当は☆5つなのだが、もうちょっと分厚く描いても良かったんじゃないかなぁ〜、ということで☆4つ。
本当に何度でも読みたい作品。荒川先生、ありがとうございました!
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商品の詳細

5つ星のうち4.8
星5つ中の4.8
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