カスタマーレビュー

2019年5月14日に日本でレビュー済み
前巻で突如現れた表現力の女王が覚醒します!

※以下ネタバレ含みます※ (そして長い)
感性の純平・英才教育少女の夏姫ペアは、お互いが足りない部分を補い合うことでより高い次元へ向かうパワーに溢れた、The 主人公、という若いプラス・エネルギーの象徴。

対して、今回登場しない純粋培養バレエマシーンの流鶯・都のペアは、主人公のライバルであり、かつ親からの呪縛と戦う思春期の心理的自立そのものの象徴。あえて言えば反抗的な若いエネルギー。

一方、前巻から組み始めた秀才型の海咲・表現力桁違いの響ペアは、両者とも他者への僻みがある種のエネルギーになっているという、悪役的な内面を持っています。
でもそれが悪役になりきらないのは、僻み精神満載な相手を見て、「このままではこの人が埋もれてしまう!」という危機感から互いに互いを引き上げてるため。

今回は響が海咲を持ち上げています。
きっと天才だなんて一度も思ったことない、どちらかというと努力型と思っていたであろう響は、「天才」「天才」とひたすら声をかけて勝手に自虐的になったりする海咲にどれほど救われたのでしょうか。
見違えるように自信を持ち、この私をその気にさせたんだから、と背中で語る響・・・かっこよすぎます。

純平たちが良い演技・特訓をし、互いの絆を結んだ分だけ、もう一方の響たちが輝くような演出がにくらしかったです。

3つのペアはそれぞれ少年・少女(というか人)が成長するために必要なものの具象化なのだと思います。
純平たちは「よくわからないけど何かを成し遂げたい、表現したい」という衝動。これを形にして行くことが自己実現でしょう。
流鶯たちは上にも書いたように保護者からの自立。
海咲たちは(他者を羨む必要のない)自己の確立。

書いていて、
あれ・・・そうすると海咲達の役割もう終わったから、この先の出番ないんでないの・・・?
ある意味ここは海咲と響にとっての最終巻だからこんな盛り上がってるのか・・・・(114幕付近気合いすごくないですか。響は手から響オーラ(何かのカケラっぽいキラキラしたもの)出てるし)
と思い至りました。

ここにきて、
感性と体型に恵まれた純平が漫画的に目指すもの、というのがよりはっきりしてきたように見えます。
ライバルを倒したり心理的な何かを乗り越えたりなんだり(そういうのは別キャラにより託されている)、というよりも、ライバルや色々な師、パートナーと出会って、自分に相応しい表現を見つける、自分にしかできないバレエを手に入れる方向に向かっています。
芸術系漫画は大きなコンクールなどで締めくくるのがよくある印象ですが、そうした勝ち負けがはっきりするラストに持ってくるかどうか、というのが今後気になるところです。
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