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2021年6月24日に日本でレビュー済み
先ごろ、「デッドプールSAMURAI」という漫画が発売して、日本人によるアメコミ題材マンガということで反響を危惧した方も多かったと思いますが、予想通り「イメージと違う」という声があったようです。しかし、それが「この作者の解釈・調理方法は好みにあわない」というならば「さもありなん」なのですが、一部の「悪ふざけやメタネタで表面を真似しただけで原作と違う!」という批判には、かえってハテナマークが頭に浮かんだ人も少なくなかったのではないでしょうか。原作ってどれだよ、という話は置いといて……おい、批判されてんぞ、悪ノリとメタギャグだのみはダメだってよ、ロビー・トンプソン(本書のライター)。

本シリーズは元々ライトな作風でありましたが、本巻は一段と明るく軽く中身がなく(貶してるわけではありません)、楽しく気軽に読める内容になっています。ヴィランというか敵役たちも極悪人というわけではなくヌルい連中ですので、アメコミ、特にシリアス系のマーベル作品には多い、殺伐とした感じがないのが素晴らしい。アメコミは「単純で子供向けだから鑑賞に堪えない」という印象をいまだに払拭できずにいると思っていますが、現実には「複雑でギスギスしているので読んでられない」ということの方が多い気がします。既存イメージの破壊が評価されるらしく(売り上げには直結しないようですが)、新解釈で温室をぶち壊すようなライターもいっぱいいます。しかし本書は単純明快、ユーモア満載で、(足が千切れるなどの物理的な事象はともかく、作風としては)おだやかでもあり、先入観を持ってる人には「ほら見ろ」かもしれませんけども、疲れていた読者には清涼剤かつ栄養ドリンクのような一冊です。
メタネタもたくさん……というより一冊とおして乱れうちされています。とうとうスパイダーマンからツッコまれるほどですし、別パターンのメタキャラであるグウェンプールにも言及されます。デッドプールは作品によっては別にメタネタを使わないので、それを望む読者には期待通りの密度ではないかと思います。トム・キングの「ミスターミラクル」も茶化されています。それこそトム・キングは私にとってイメージ破壊・調理法が好みにあわないライターの筆頭ですが……。
また、友情を深めるための二人旅、お手製の旅行マップ、パジャマでのキャンプといった平和な導入部も微笑ましいです。あとでドン底につきおとすための前フリではなく、前巻までに引き続いてスパイダーマンとデッドプールはお互いに対して優しい。予想外の妨害が入りますが、スパイディはデップーに正体を明かそうとするほど、心をゆるしています。邦訳が決定しているらしい次の巻で何が起きるか分からないものの、いまのところ、終始、ソフトで、ハートウォーミングな関係です。
唐突にスリングショット水着を着ているデップーや、おなじみのドラマネタや映画ネタなど、悪ふざけのギャグも連発。キャラクターのアクションもコミカルなノリで統一されており、本当に愉快な作品だと思います。

本シリーズを小学生くらいの男の子が買っているのを見たことがあります。スパイダーマンもデッドプールも人気キャラですから不思議はありませんが、実際、子供が読んでも楽しいと思いますし、子供に読ませてもトラウマにならない優しくおだやかなストーリーでもあります。私は邦訳専門なのでアメコミの全貌は知りませんが、それでも、時々こういうのを挟んでくれないと精神を病みます。そろそろ残弾が減ってきて、あとはクレイジー系のものばかりなのかもしれませんが、チャーミング系デッドプール作品をどんどん訳してほしいものです。次の最終巻も楽しみです。
なお、こんど「エターナルズ」という映画をやるそうですが、別に予習にはならないと思いますけども、本巻にもエターナルズが登場するのも、タイムリーな注目点です。ビルドフィギュアとして発売され、一部で話題になったスティルトマンも、一コマだけ登場しますよ!
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