カスタマーレビュー

2021年1月28日に日本でレビュー済み
主人公がオッサンです。少年漫画なのでオッサンではなく若者のほうがいいような気がするのですが置いときます。作品世界は怪獣の出現が日常となっている世界であり、怪獣は自然災害の暗喩的な存在でもあって、怪獣が出てくるとその規模に依ってなんちゃらチュード6、ゆーて警報が出たりする、MM9という小説の設定そのままで御座います。
怪獣の出現が日常化しているのであれば、インフラもそれにあわせる必要があり、電線普通に電信柱で張ってたらしょっちゅう停電が起こるんじゃないの?という揚げ足とりも置いておきます。
そんな日常で主人公は退治された怪獣の死体処理のような作業に従事しておりますがひょんなことから彼自身が怪獣となってしまい、とやかくあって矢張り夢を捨てきれない、とかで怪獣退治の仕事を目指すことにしました。その後の展開は今更読み始めているヒロアカのようですが、どーでもいいです。

私のような冷めきった人間は、上の設定から職業差別を読み取ってしまうのです。「世間から評価されない、後始末の下働きみたいな真似をしているよりも世間から喝采を浴びる仕事をしているひとのほうが偉いしかっこいい」みたいな。
怪獣の出現が日常化しているならその後始末の任務にあたる仕事だって社会に大きく貢献し、人々の役に立つ、立派なものな筈。そんな目立つこともない仕事を頑張るオッサンは素晴らしい、でなく、その仕事をやめて子供の頃の夢を捨てられないとチート怪獣能力を与えられて、再び夢に向かってレッツゴーってどうなの、って冷水ぶかっけたくなりますね。目立つこともない中小企業勤務からするとね。

まあ、少年漫画でそれだと夢もなにもないので、本作のような設定になったんでしょうが、だったら主人公を若者にすりゃいいじゃん、と最初に書いた発言に戻るわけです。まあ、作者がオッサンだからなんでしょうけども。
作者からすると職業差別するつもりなんて微塵もないだろうから言いがかりも甚だしいと思うでしょうが、死体処理業での平凡な人生に納得したつもりになって自分を誤魔化してる主人公が「なんで俺、”こっち側”にいるんだろ」ですからね。「こっち側」。その「こっち側」の人間なんじゃないかな、世の中の多くの人は。「こっち側」のしごとを「あっち側」と等価であると肯定する言葉ってこの1巻にあったっけ?見落としてたならゴメンナサイ。
16年前に新人賞とった漫画家らしいから作者自身の作家としての立ち位置と重ねてるかもだけど、漫画家というのは売れる売れないに関係なく、性質上、特殊な職業であるわけであり、製造業などの仕事は経験を積めば出来るようになっても、表現者というのは目指せば誰でもなれるものではない、というのを踏まえると、そーゆうところに以降の巻でフォローがはいらないのであれば、なんつーか、ものすごく体制側の漫画って気がするな。作者が若い新人ならこんな感想書こうとは思わんけども。

オッサンに必要なのは「夢」じゃないからね。「野球選手目指そう!」つって夢を抱いて実際に目指せるのは若い子だけでしょ?目指したって物理的に体が育たないからね笑。だから本作も怪獣チートで補助しないとならんわけだけど無いからね、怪獣チートなんてもんは。目の前に人参ぶら下げられたロバみたいなもんよな。
怪獣の死体処理業を漫画にしたほうがよかなかったですか。防衛隊との報連相、インフラ回復の為の迅速な行動、退治したはずの怪獣から生きてる怪獣の赤ちゃんが見つかったりしてどうするかとゆー倫理観への問いかけみたいにいくらでも話広げられそうだし。こっち側を肯定する物語が必要なんよ。ただでさえ現実がドン詰まってるのにオッサンに夢見せてどーすんのよっていう。オッサンが今まで歩んできた人生を「こっち側」ゆーて「夢」なんてもんの為に否定しちゃってんだもんね。
少年が主人公ならんなこと気にする必要もないし。本作は異世界なろうと同じだよね。貧困層の少年がふつうの暮らしをしたいからヒーローになるチェンソーマンに対しこっちはふつうの暮らしをしてるオッサンがもう一度夢を見たいよだもんな…。
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