カスタマーレビュー

2020年11月14日に日本でレビュー済み
1巻が面白かったので最新刊までまとめ買いしたのを後悔し始めています。
とりあえず主人公の復讐劇とやらは一切進行しません。ならば何を描いている巻かというと、「魔に呑まれる」というのがどういうことなのかを一巻丸々使って描いたということになります。
まあチュートリアルですね。3巻までやってて今さらやることかとも思うのですが。

問題は、一巻ぶんを使っても「魔に呑まれる」ことの意味や理由が不明瞭なこと。そして、オフィーリアが魔に呑まれてまで何をしたかったのかサッパリ分からないことです。
一人の少女が生来の苦しみから解放されました。よかったよかった。……で?
結局彼女は何がしたかったの? というかなんでキンバリーでそんなことやってるの? 自分の研究するなら外でやりゃいいのになんでこんなところにいるんだコイツ?
そもそも魔に呑まれるってどういうこと? 何を以て「魔に呑まれる」とするのか? 魔に呑まれて魔法使い的になんかいいことあるの? 自滅してるだけでは?
魔法使いらはわざわざキンバリーで呑まれずとも、外でやった方がよほどか自分の研究成果を誇示できるのでは? というかコイツら何をそんなに研究してるの?
そういう数々の疑問が思い浮かんできてちっとも物語に集中できません。
そもそも魔法使いたちはいったい何を目指しているのか? そういう具体的な部分が一切見えてこないままいたずらに殺し殺されしているので、作者が意味もなく悪趣味な舞台にしているようにしか見えません。

fateとかぶるところがあると言われていますが、舞台設定としてはあちらの方がよほど優秀ですね。
あちらでは(抽象的で分かりにくい部分も多いですが)根源なるものを目指して魔術師らは己の研究を極めている、と明確にされています。研究の違いはアプローチの違いだとも。
では、この世界の魔法使いたちはどうでしょうか? どうやらそれぞれの研究分野を極めたがっているらしい。それは分かる。それで極めすぎた結果魔に呑まれるらしい。ふむふむ。
……で? 極めた結果、何をしたいの? それがさっぱり見えてきません。
そのため、今回のオフィーリアも主人公側からすれば単なる災害にしか感じられません。ポッと出の災害で唐突に人情話やられても……という感じです。
しかも主人公らは始終蚊帳の外。他のレビュアーの方もおっしゃっているように、短編か外伝でやってくれって感じです。ゴッドフレイあたりを主人公にして。

ただ、まあ、世界観はめっちゃいいです。
設定もかなり面白いです。肝心要の魔剣はさっぱり出てこないけど。
文章も面白い。局所的には話も面白い。
ただ(2巻でも感じたけど)全体として話が進んでくれない。進みが遅いのじゃなくて、寄り道ばっかりで本題に一切触れない感じです。
文章密度に比べてかなり刊行速度が速い作者さんのようなので、たぶんその場のノリで書くタイプなのでしょうね。短編に向いているタイプとお見受けします。
この小説も、「キンバリーの魑魅魍魎どもを描く」みたいな感じで連作短編にした方が面白かったんじゃないかなぁ。
……というわけで、辛うじて星2の評価とします。
次巻はようやく復讐関連の話になってくるようなので、まあ次巻までは読みます。
読了直後の感情吐き出し長文、失礼しました。
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