カスタマーレビュー

2019年3月19日に日本でレビュー済み
やはり村田沙耶香は天才だと思った。

小4になる私の息子は幼い頃にアスペルガーと診断されている。
たしかに、その時まず私が息子に思ったのは、息子はちゃんと「就職」して「恋愛」して「結婚」して「普通の幸せ」を味わうことができるのだろうか?ということだった。

息子は幼い頃から、明らかに集団の中で浮いていたし、友達は気味悪がって近づかなかった。
そのうち息子からも、年の近い男の子には近寄らなくなった。
私がそう言った訳ではない。8歳の頭で考えたなりの処世術なのだと思う。
でも、担任の先生には「いつも休み時間は静かに本を読んだり、女の子とお喋りをしたりしています。年の近い男の子のお友達とも仲良くできるといいんですけど」と面談のたび言われる。
その時に、私は、普通ってなんだろうと考えることになる。
ちなみに息子は、朝きちんと自分で起き、朝ご飯も自分で食べ、体調不良のとき以外は必ず学校に遅れず行き、宿題は欠かさずきちんとやり、決まった時間には必ずゲームをやめ、寝る。
私や先生の言いつけは真面目すぎるほど守る。

私は普通に恋愛して結婚して子どももいて、仕事もたまにサボるし、ゲームして夜ふかしもするし、二日酔いで仕事に行くことすらある。
ファッション雑誌を見てはお金をかけるし、趣味はたくさんあるし、ママ友とのランチは大好きだし、欲にまみれた「あちら側」の「普通」の人間なので、息子やこの本の主人公にはむしろ尊敬の念すら持つ。

この小説は、特にハッピーな話でもないし、暗くて辛い話なわけでもない。
ただただ、一人の人間がそこに存在しているというだけの話。
村田沙耶香は決して現実から並外れたことを書いてるわけではない。
主人公や白羽のことも、気味悪がる人もいれば、理解不能だと言う人もいるのは、当たり前だと思うし仕方ないこと。少数派だから。
ただ、欲にまみれ、愚痴ばかりで、人の悪口ばかり言い、ないものねだりして、そして勝手な幸か不幸かの物差しにブレる「普通な私たち」のが、もしかしたら不幸なのかもしれないな、ともふと思った。

ただ私は、白羽のことは結構好きだな。アイツ、結構人間臭くて意外と優しいとこあるよ(笑)
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