カスタマーレビュー

2009年7月16日に日本でレビュー済み
 とても印象的なエッセイ+写真集であった。写真の素晴らしさに加え、その奥にある撮影者の思いを知ることで、もっと深い感動を味わうことが出来た。原住民(インデアン)の創世神話ともいうべきワタリガラスの伝説を追い、朽ち果てていくトーテムポールに人間の文化と自然がとけ合うことの意味を感じ、鯨の骨の墓標を前に思いにふける。
 特に心惹かれたのは、星野さんがクイーンシャーロット島の今朽ち果てようとする古いトーテムポールを見にいったエピソードである。このトーテムポールはインディアン・ハイダ族のものだった。19世紀終わり頃にヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘で7割の住人が死に、生き残った人々は村を捨てて別の場所に移り住んだという。だからその島には百年以上も前のハイダ族の村の跡がそのまま残っている。その古いトーテムポールがある神聖な場所をハイダ族の子孫は朽ち果ててゆくままにさせておきたいとし、強国の博物館が人類史にとって貴重なトーテムポールを収集し保存してゆこうとする圧力から、守ってきたというのである。
 私は、この話にとても不思議な感動を覚えた。民博等で展示物を見るとき、抱いてきた違和感を説明してくれたように思ったからである。星野道夫さんは、撮影という行為を通して、自然と人間の共生の有るべき姿を追求していたのだろうか。もっと彼の本を読んでみたくなった。
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