カスタマーレビュー

2012年1月28日に日本でレビュー済み
本作の存在は長く気にはなっていたが、楳図かずおのホラー調の画風が苦手だったので敬遠していた。
だが友人の薦めがきっかけでやっと読む気になった。

荒廃した未来の地球に突然すっ飛ぶという設定は、当時のヒット作「猿の惑星」が影響していると思わ
れるが、高度経済成長が落ち着いたころという時代背景と子供向けの漫画がまだ主流だったことを
考えると、こういった作品の出現は必然的なものだったかもしれない。

独特のホラー調の画風は必要最小限にとどめられており、本当にそういった絵が必要なところでしか使
われていないので安心した。嫌悪感などなく、むしろ好感がもてた。

いい大人が子供が極限状況に置かれる作品を描くというのは、たいへんな想像力と思考実験が必要
だったろう。永井豪は「デビルマン」連載中に極度の疲労を感じたというが、本作の内容からして、
同じようにそうとうな苦労があったのではないだろうか。

星一つ減の理由は、自分にとってはあまりにも重苦しい内容で単純に楽しめなかったからだ。だがまた
読んでみたいとは思う。長く名作として読み継がれているからにはそれなりの理由があるはずで、まだ
そのすべてを理解していない気がするからだ。

次の言葉はチリの鉱山落盤事故で地下に長く閉じ込められていたある作業員のものだ。

「酷いことが起きたけど協力しあった。何もなかった、水が飲みたくても飲み物なんてどこにもなかった
ときも。僕らは協力しあったんだ。食べるものもなくて、スプーン一杯のツナ缶を口にしたぐらいだった
ときも。それで本当に結束することができた」

当時救出された作業員たちがこの作品を読んだらどう思うだろう? なにか感じてくれるものがあるの
ではないだろうか。

ラストシーンの美しさは、ただ神々しいという他ない。
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