カスタマーレビュー

2021年5月26日に日本でレビュー済み
1作目では発想の奇抜さに惹かれ、2作目では描かれる世界の不気味なリアリティに一気にのめり込んだ。
中国語版が10年前に出版されたのになぜ邦訳がまだないのかと煩悶すること一年弱、3作目は発売日、徹夜で一読み尽くしてしまった。もったいないと言われるかもしれないが、止まらなかったものはしょうがない。
3体シリーズ最大の魅力は何といってもスケールの大きさ、そして設定、描写の緻密さだろう。SFは結構読んできたが、3体シリーズほど練り上げられた世界観を持つ作品は珍しい。科学技術的な設定はリアリティを追求して緻密に構築されているし、歴史や社会、政治の描写も手心を加えることなく人間の醜い面も含め容赦なく描き切っている。そのせいで、もしかしたら現実でもこの物語のようなことが起こりうるのではという恐怖すら感じた。
ハードSFではしばしば世界やSF的な理論体系を構築するのに力を入れるあまり、登場人物や物語自体がやや無機質で副次的になってしまうことがある。本シリーズもその傾向があるのだが、今3作目ではよりそれが強まった印象だ。個人的には主人公の女性にはあまり感情移入できなかったし、ストーリーにも2作目ほどのワクワク感は感じることが出来なかった。
普通ならば大きな欠陥だが、本作に限っては世界背景が素晴らしく魅力的なのでそれほど大きな問題だとは感じなかった。登場人物やストーリーはこの世界観を観賞するためのツールだと考えればいいだろう。
人物、ストーリーでも満点の出来だった暗黒森林に比べるといささか冗長で失速した感もあるが、前2作の世界観に魅了されたなら今作にも十分満足できると思う。
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商品の詳細

5つ星のうち4.7
星5つ中の4.7
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