カスタマーレビュー

2021年6月1日に日本でレビュー済み
コミック版を読んだら面白げだったので購入。この巻までの感想。WEB版は未読。

一応、飽きる事無く読み終えたのでそれなりに面白かったとは言える。その面白さは基本的には主人公のケーナに依存しており、彼女がいなくなると途端につまらなくなる。あからさまに最初からケーナが世界の中心であり、ケーナが動かないと物語が進行しない。もう二三人ケーナくらい個性のあるキャラが常時いれば良かったのだが、一見吹っ飛んだキャラクターもケーナがいない場面では途端に個性を失ってしまうのである。

ラノベにはたまに良くある事なのだが、キャラクターと設定を決めて放置したらこんなん出来ました、みたいな作劇方法である。おそらくは全体の構想が無いまま書き進めており、ストーリーに一貫性が無い。そのため、ダラダラと進む部分と急展開する部分が何の繋がりも脈絡も無く並んでいる。次第に盛り上げるとか、伏線を匂わせながら意味ありげな展開をするとか、そういう事が出来無い。この巻で言えば突然のネタバレが生じ、せっかく長い事引っ張っていた謎っぽい事が台無しになったり、それまで薄っすら出ていた彼の神秘性が台無しになったり色々と勿体無い事になっている。

この作劇手法だと往々にしてキャラクターが暴走し、作者でもコントロール不能になり、設定さえも無視し始めて世界が崩壊してしまって物語が収束に向かうに従って支離滅裂になり、エンディングが無茶苦茶になるか完結しなくなる傾向がある。この物語はWEBで完結しているらしいので完結しないという事は無いのだろうが、この巻を読んでいてエンディングがかなり不安になった。

設定の矛盾、文章に前後の脈絡の無い部分も散見され、これは編集と校正がよく見て指摘すべきではないか?兼業作家では行き届かない部分も多かろうから。WEBから拾ってきて加筆させてそのまま売り出すような安易な商売をしないで、きちんと拾ってきた作家を育てて欲しいものである。

ともあれ、なろう発の書籍化作品をいくつか読んだ中ではかなり良い部類であり、完結まで追う気ではいる。
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