<上・下巻の評価>
特殊な信仰と風習が残る閉鎖的な孤島で起きた行方不明事件と数々の殺人事件の謎を主人公が追うミステリー。
はっきり言って、島の「特殊な宗教事情」と「多すぎる人間関係」が事件を無駄に複雑にしているだけの内容で、ミステリーとしてもドラマとしてもまったく面白いと思えなかった。誰と誰が親戚筋で、親子で、従兄弟で、誰々は離婚していて、過去に誰々が住んでいて、ひょっとしたら誰々がその誰々の縁者で…と、物語の大半がこの「人間関係」の語りで埋め尽くされている。
また、島民も最初は事件を闇に葬ろうとしていたのに、なぜか途中から協力的になり、これがまあベラベラと島の事情や人間関係を主人公にしゃべるわしゃべるわ(笑)。これが過去の事件やら、人間関係やら、アリバイにやたら詳しい(19年前の事件の時には誰々が島に戻ってきていて、誰々が何時に何処にいたとか…)。ストーリーを進展させるために仕方ないとは言え、そんな細かい事をいちいち覚えているのがあまりに不自然すぎる。また、そんな島民の「過去の記憶や証言」を基本的に疑うことなく推理を進めていく主人公にも違和感大。
それでいて、結局、事件の「真相」にはそうした多くの人間関係や過去の確執などあまり関係しておらず、あの人物があんなコトをやっていたのも、結局は「島の宗教絡み」と言う特殊な事情が根底にあるからで、それを知らされたところで、こっちにしてみれば「あっ、そうなんだ、ふ~ん…」くらいのもので、何の感情移入も出来ず、たいした感慨も湧かない。
ホラーとしてもミステリーとしても中途半端で、とにかくだらだらとしたストーリー展開が致命的に面白くない。
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黒祠の島 下 (幻冬舎コミックス漫画文庫 や 1-2) 文庫 – 2009/7/24
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- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎コミックス
- 発売日2009/7/24
- ISBN-104344817184
- ISBN-13978-4344817180
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登録情報
- 出版社 : 幻冬舎コミックス (2009/7/24)
- 発売日 : 2009/7/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 254ページ
- ISBN-10 : 4344817184
- ISBN-13 : 978-4344817180
- Amazon 売れ筋ランキング: - 779,070位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 72位幻冬舎コミックス漫画文庫
- - 166,824位文庫
- - 302,470位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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大分県中津生れ。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に在籍。「東亰異聞」が1993(平成5)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、話題を呼ぶ(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 黒祠の島 (ISBN-13: 978-4396331641)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カスタマーレビュー
5つ星のうち3.8
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ベスト1000レビュアー
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2009年9月13日に日本でレビュー済み
小野不由美さんが2001年に刊行された本格推理小説の佳作を原作とし、山本小鉄子さんがほぼ忠実に漫画化した作品です。2005〜2006年に描き下ろし全3巻で刊行されました。今回の文庫版では1・2巻が上巻、3巻が下巻に再編されています。
犯人は島民の思考を規定する馬頭夜叉の伝説を用い、被害者を別の事件の加害者と人々に思わせ、事件の隠蔽と幕引きを狙った。しかしなぜ麻理ではなく志保が殺されたのか。また、動機のある者にはみなアリバイがある。式部の調査は行き詰った。と、そこへ意外な名探偵が現れ、快刀乱麻を断つ。全ての謎は解き明かされ、失意の主人公は一縷の望みをかけて海を渡る……。
シンプルな絵柄に膨大なセリフとモノローグからなり、絵が風景・状況・表情・しぐさ以外の情報を集約する役割に徹しているのが本作の特徴です。それゆえ読後感は小説にかなり近い。この原作を大切にする姿勢は買いますが、漫画的な情報整理の手法(人物相関図や現場の見取り図など)まで完全に排除しているのは、個人的には「もったいない」と感じました。
とくに下巻には謎解きのシーンがあります。図解してくれたらわかりやすいトリックにもかかわらず、小説に準拠したセリフだけで解説が進んでしまう。原作のわかりにくい部分もそのまま。よく考えれば分かることとはいえ、せっかく漫画化したのだから……と、個人的には残念に思いました。
派手なアクションはないし、調査中も次々に殺人事件が起きるわけでもない。コツコツと情報を集めていくにつれ、データの充実に反して混迷が深まっていく。このフラストレーションを謎解きで一挙に昇華させる……。本作は、そうした本格推理小説の滋味を漫画で味わえる、貴重な作品です。
犯人は島民の思考を規定する馬頭夜叉の伝説を用い、被害者を別の事件の加害者と人々に思わせ、事件の隠蔽と幕引きを狙った。しかしなぜ麻理ではなく志保が殺されたのか。また、動機のある者にはみなアリバイがある。式部の調査は行き詰った。と、そこへ意外な名探偵が現れ、快刀乱麻を断つ。全ての謎は解き明かされ、失意の主人公は一縷の望みをかけて海を渡る……。
シンプルな絵柄に膨大なセリフとモノローグからなり、絵が風景・状況・表情・しぐさ以外の情報を集約する役割に徹しているのが本作の特徴です。それゆえ読後感は小説にかなり近い。この原作を大切にする姿勢は買いますが、漫画的な情報整理の手法(人物相関図や現場の見取り図など)まで完全に排除しているのは、個人的には「もったいない」と感じました。
とくに下巻には謎解きのシーンがあります。図解してくれたらわかりやすいトリックにもかかわらず、小説に準拠したセリフだけで解説が進んでしまう。原作のわかりにくい部分もそのまま。よく考えれば分かることとはいえ、せっかく漫画化したのだから……と、個人的には残念に思いました。
派手なアクションはないし、調査中も次々に殺人事件が起きるわけでもない。コツコツと情報を集めていくにつれ、データの充実に反して混迷が深まっていく。このフラストレーションを謎解きで一挙に昇華させる……。本作は、そうした本格推理小説の滋味を漫画で味わえる、貴重な作品です。