鈴木光司の本は、いつも独特の、少しファンタジックな世界観が好きでたくさん読んでいます。
この話は主人公の雪島忠信とその父の話が交互に挟まれ、最後にそれが合流するという形をとっています。
忠信が太平洋戦争での特攻隊についての特番の取材を進めるにつれていろいろな手掛かりを掴み、それが実は父の昔の体験と重なっていたりと、とてもワクワクする展開となっています。
最後にある人物を軸に2つの物語が合流した時は、かなり興奮しました。
しかしそのラストは、少しあっけないというかあっさりしている感じがして、それまであったリアリテイが崩れたような気がしました。
同時並行で進んでいる愛人とのもめごとも、先が気になる良い要素となっています。

自らの意志で特攻攻撃から生還した元特攻隊隊員……テレビプロデューサーの雪島忠信は、その男の行方を追い始めるが……!? 時代に翻弄される人間の価値観の本質を描いた、本格ヒューマン・ミステリー!
(C) Koji SUZUKI 2010, 2013 カバークレジット:清野陽平(KADOKAWA)

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登録情報
再生時間 | 16 時間 37 分 |
---|---|
著者 | 鈴木 光司 |
ナレーター | 下田 レイ |
配信日(Audible.co.jp) | 2017/9/20 |
制作 | KADOKAWA |
フォマット | オーディオブック |
バージョン | 完全版 |
言語 | 日本語 |
ASIN | B075S1VM1Z |
Standard Japanese | |
Amazon 売れ筋ランキング | - 7,857位Audibleブック・オリジナル (の売れ筋ランキングを見るAudibleブック・オリジナル) - 296位フィクション: ホラー - 438位ミステリー - 8,001位SF・ホラー・ファンタジー (本) |
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.2
星5つ中の4.2
17 件のグローバル評価
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トップレビュー
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2015年1月20日に日本でレビュー済み
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1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2011年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東日本大震災・原発事故をきっかけにから日本人論に関心を持っていましたが、作者の出演した「ラジオ版学問ノススメ」のポッドキャストを聴いて、日本人の行動心理についての熱い語り口と、自らの意思で生還した特攻隊員という設定に興味を持って購入しました。
大変ドラマチックで、面白い小説です。時間が許せば一気読みできるくらい引き込まれました。
ただ、日本人論としては、ポッドキャストの方が断然明快で含蓄があります。もしこれを聞かずに本書を読んだら、何がテーマなのか伝わらなかったと思います。その原因は主人公の不倫のくどい程の描写です。主人公が元特攻隊員を探すというところに限定すればよかったのにと思います。そうすれば、そこから読者は今の自分たちへの適用を自然と読み取るでしょう。それが歴史の重みというものです。
ところが不倫物語でわざわざ「この精神構造が今も息づいている」と教えることで、逆に読者のそれぞれの読み方を妨げています。要は、上から目線で説教されているようで素直に入ってきません。そもそも特攻隊員の心理と、不倫を貫徹しようとする姿勢とが同列で語られていることには違和感を感じます。その点、テーマをうまく伝えられていないと思います。作者の思い入れが強すぎたのかも知れません。
繰り返しになりますが、物語としては面白いので、エンタテインメントとしてはおすすめです。
なお蛇足ですが、ポッドキャストで本書に興味を持った方なら、本書でも参考文献に挙げられている「失敗の本質ー日本人の組織論的研究」(中公文庫)がおすすめです。
大変ドラマチックで、面白い小説です。時間が許せば一気読みできるくらい引き込まれました。
ただ、日本人論としては、ポッドキャストの方が断然明快で含蓄があります。もしこれを聞かずに本書を読んだら、何がテーマなのか伝わらなかったと思います。その原因は主人公の不倫のくどい程の描写です。主人公が元特攻隊員を探すというところに限定すればよかったのにと思います。そうすれば、そこから読者は今の自分たちへの適用を自然と読み取るでしょう。それが歴史の重みというものです。
ところが不倫物語でわざわざ「この精神構造が今も息づいている」と教えることで、逆に読者のそれぞれの読み方を妨げています。要は、上から目線で説教されているようで素直に入ってきません。そもそも特攻隊員の心理と、不倫を貫徹しようとする姿勢とが同列で語られていることには違和感を感じます。その点、テーマをうまく伝えられていないと思います。作者の思い入れが強すぎたのかも知れません。
繰り返しになりますが、物語としては面白いので、エンタテインメントとしてはおすすめです。
なお蛇足ですが、ポッドキャストで本書に興味を持った方なら、本書でも参考文献に挙げられている「失敗の本質ー日本人の組織論的研究」(中公文庫)がおすすめです。
ベスト1000レビュアーVINEメンバー
特に意識したわけではないが、百田尚樹氏の「永遠の0」を読了してさほど間もないのに、手に取った本書はやはり第二次大戦の特攻隊員をモチーフにした作品であった。
ストーリーは全く異なるが、何れも現代日本に生きる男女が特攻隊員について調査して、現代の感覚で振り返るという設定は似ている。大きく異なるのは「永遠の0」では現代と過去の割合が1対9ぐらいで過去に比重におかれていたのに対し、本書は6対4か7対3ぐらいで現代に重点がおかれている点だ。
「永遠の0」は特攻で死んだ祖父がどのような人物だったのかを調べるという筋書きであったが、本書はテレビのプロデューサーの雪島忠信が、終戦50周年のスペシャル番組のために、特攻に出撃しながら自分の意志で引き返して生き残った人を探そうとするのがメインストーリーだ。そんな人がそもそも実在するのかという疑問もわくが、本書ではその調査の過程をかなりの説得力を持たせて描いており、ミステリー小説としても結構楽しめる。
そして並行して描かれるのが、主人公の雪島忠信と人妻の倉沢菜都子との恋の行方である。不倫ではあるものの二人は真剣であり、特攻隊員の調査と二人の恋の行方が最後には絡み合っていく展開は見事で、読み応えのある作品となっている。
ただ一つ疑問なのは「鋼鉄の叫び」というタイトルだ。濃密な人間ドラマが描かれているのに、何故「鋼鉄」なのか理解できない。せっかくいい小説なのにこのタイトルだけで読む気をなくす人もいるのではないだろうか。もったいない気がする。
ストーリーは全く異なるが、何れも現代日本に生きる男女が特攻隊員について調査して、現代の感覚で振り返るという設定は似ている。大きく異なるのは「永遠の0」では現代と過去の割合が1対9ぐらいで過去に比重におかれていたのに対し、本書は6対4か7対3ぐらいで現代に重点がおかれている点だ。
「永遠の0」は特攻で死んだ祖父がどのような人物だったのかを調べるという筋書きであったが、本書はテレビのプロデューサーの雪島忠信が、終戦50周年のスペシャル番組のために、特攻に出撃しながら自分の意志で引き返して生き残った人を探そうとするのがメインストーリーだ。そんな人がそもそも実在するのかという疑問もわくが、本書ではその調査の過程をかなりの説得力を持たせて描いており、ミステリー小説としても結構楽しめる。
そして並行して描かれるのが、主人公の雪島忠信と人妻の倉沢菜都子との恋の行方である。不倫ではあるものの二人は真剣であり、特攻隊員の調査と二人の恋の行方が最後には絡み合っていく展開は見事で、読み応えのある作品となっている。
ただ一つ疑問なのは「鋼鉄の叫び」というタイトルだ。濃密な人間ドラマが描かれているのに、何故「鋼鉄」なのか理解できない。せっかくいい小説なのにこのタイトルだけで読む気をなくす人もいるのではないだろうか。もったいない気がする。
2011年6月22日に日本でレビュー済み
この本を読む前に著者が出演するラジオ版学問のススメをポッドキャスティングで聞きました。鈴木さんの本はリング、らせん、ループ、楽園等幾つか読んでいて、鈴木さんからこの作品について何が語られるか興味津津でした。
この本は鈴木さんの作家デビュー20周年、そしてこの本の構想30年目という意欲作であるとのこと。
集団の呪縛から逃れられない日本人。一旦できた流れから逆らえない、その最たる例として特攻を扱ってあります。
そこから自分の意思で戻ってきた人がいてもいいじゃないかという小説です。書くためにものすごいエネルギーを必要としたそうです。
そういった前知識があってか、あっという間に読んでしまいました。すんなりと読めた他の理由はやはり鈴木さんの他の著作を読んでいたからというのもあったと思います。
内容とは関係ないですが、本はその時期に必然的に自分にやってくる本があると感じさせられました。この本はまさしくそういった運命を感じさせられた本でもあります。
この本は鈴木さんの作家デビュー20周年、そしてこの本の構想30年目という意欲作であるとのこと。
集団の呪縛から逃れられない日本人。一旦できた流れから逆らえない、その最たる例として特攻を扱ってあります。
そこから自分の意思で戻ってきた人がいてもいいじゃないかという小説です。書くためにものすごいエネルギーを必要としたそうです。
そういった前知識があってか、あっという間に読んでしまいました。すんなりと読めた他の理由はやはり鈴木さんの他の著作を読んでいたからというのもあったと思います。
内容とは関係ないですが、本はその時期に必然的に自分にやってくる本があると感じさせられました。この本はまさしくそういった運命を感じさせられた本でもあります。