自分が感じた本作品の素晴らしさについては一巻や二巻のレビューに書いた通りなのだが、筆者はそこで本作品のおっさん心をくすぐるレトロ風味のある(でも現代的に洗練された)絵柄について「日ペンの美子ちゃん」みたいだと書いていたのだが、作者がそっちも書いていたと今頃知った。間抜けな話である。
それにしても本巻はとても情感にあふれたラブコメ展開でもあった。虚構の中で年齢を忘れてしまうようだ。扱われている映画作品のラインナップに影響しているかもしれない。その点で主人公(男性)がほどほどおっさんくさい趣味で比較的無味無臭で孤立・独善的なところも感情移入の依代として絶妙なバランスである。
さらに主人公(女性)が記憶喪失となって作品構造のメタ批評的な物語展開となる巻末2話も面白かった。ますます快調との印象。
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season5 (マーガレットコミックスDIGITAL) Kindle版
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言語日本語
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出版社集英社
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発売日2021/2/25
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ファイルサイズ48619 KB
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ベスト50レビュアー
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ベスト1000レビュアー
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Season5。
邦キチ×2、ヤンヤン、マリアときて
やっぱり表紙を飾ったのは・・・。
前の4巻に登場した3年生になった邦キチよろしく
“部長”・・の前にくっつく名前が
パッと出てこない此奴が。
『ドカベン』だったら山岡が
『ブラック・ジャック』ならヒョウタンツギが
『ゲゲゲの鬼太郎』ならばメガネ出っ歯が
1枚看板で表紙を飾る位あり得へん。
キャラ立ち度で言えば
特撮部のあの二人の方がハルカにマシというもの。
普段は邦キチの方からプレゼンを聞かされるだけの
傍観者に甘んじていた部長も
さすがに今回は、
リアルに恋バナしてゴミの山にダイブしたり、
海に行ったり、
金縛りにあったり、
邦キチのために邦画プレゼンしたり
いつになくアクティブ。
そして
“一体 誰が見るんです?”をはじめ
それを言っちゃぁ、お終めぇよ!
なワードもポンポン飛び出して
シリーズも佳境に入りましたかね?
余談ですが、
あとがきで語られた
服部センセイの母校って
体育祭と文化祭が2daysになってるって、
もしかして僕も仕事で行ったことがある
SM(地名と方角の略)高校じゃないデスか?
追記:その後、Wikipediaにて校名が解りました。
誤解でした!
邦キチ×2、ヤンヤン、マリアときて
やっぱり表紙を飾ったのは・・・。
前の4巻に登場した3年生になった邦キチよろしく
“部長”・・の前にくっつく名前が
パッと出てこない此奴が。
『ドカベン』だったら山岡が
『ブラック・ジャック』ならヒョウタンツギが
『ゲゲゲの鬼太郎』ならばメガネ出っ歯が
1枚看板で表紙を飾る位あり得へん。
キャラ立ち度で言えば
特撮部のあの二人の方がハルカにマシというもの。
普段は邦キチの方からプレゼンを聞かされるだけの
傍観者に甘んじていた部長も
さすがに今回は、
リアルに恋バナしてゴミの山にダイブしたり、
海に行ったり、
金縛りにあったり、
邦キチのために邦画プレゼンしたり
いつになくアクティブ。
そして
“一体 誰が見るんです?”をはじめ
それを言っちゃぁ、お終めぇよ!
なワードもポンポン飛び出して
シリーズも佳境に入りましたかね?
余談ですが、
あとがきで語られた
服部センセイの母校って
体育祭と文化祭が2daysになってるって、
もしかして僕も仕事で行ったことがある
SM(地名と方角の略)高校じゃないデスか?
追記:その後、Wikipediaにて校名が解りました。
誤解でした!
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
プレゼンの渋さ(異様さ)は相変わらずだ。邦画でも「キングダム」のような堂々たるヒット作は取り上げない。そんなのあったのか!とか、関係者も忘れている作品が多い。実写「ドカベン」は劇場で見たので大笑いさせてもらった。ネタとして教えてもらうだけで腹いっぱい、という作品が多い。でも一冊に一本くらいは見たくなるのが含まれている。今回は韓国映画『エクストリーム・ジョブ』を通販で注文した。
普通に学園漫画として面白い。唐突に海に行って映子のビキニ姿に部長がドギマギする。本作でこんなシーンが見られるとはなあ。
映子が記憶喪失になる話は、オタクに刺さる。「客観的に見れば、バカなことやってるなあ」とふと気づいてしまうことは、誰にでもある。もちろん「でも楽しい、好きだ」という気持ちが上回るのだが。部長のセリフは、すべてのオタク・マニアに送る究極のエールだ。
「言ってる事はわからんが、その気持ちはわかる」
うむ、その通りだ。ジャンルは異なっても、オタク同士はわかりあえる。
今回はプレゼンに加えてマニア気質への考察に感心したので、最高点を差し上げる。
普通に学園漫画として面白い。唐突に海に行って映子のビキニ姿に部長がドギマギする。本作でこんなシーンが見られるとはなあ。
映子が記憶喪失になる話は、オタクに刺さる。「客観的に見れば、バカなことやってるなあ」とふと気づいてしまうことは、誰にでもある。もちろん「でも楽しい、好きだ」という気持ちが上回るのだが。部長のセリフは、すべてのオタク・マニアに送る究極のエールだ。
「言ってる事はわからんが、その気持ちはわかる」
うむ、その通りだ。ジャンルは異なっても、オタク同士はわかりあえる。
今回はプレゼンに加えてマニア気質への考察に感心したので、最高点を差し上げる。
ベスト500レビュアー
前巻の時点で思っていたことではありますが、ラブコメ度が上がってきています。
普通に海デートしてるし、邦キチも普通に部長の家に入り浸ってそうだし。
「お前ら、もう付き合っちゃえよ!」感が出てきてるように思いました。
それやっちゃうと邦画プレゼンというテーマがぶれちゃうのでやらないとは思いますが。
相変わらず破天荒な邦画プレゼン漫画ですが、今回は邦キチが記憶喪失になる回が面白かったです。
見た目的にもちょっとキリっとなって、めんどくさい映画オタが言い出すタイプの邦画ツッコミ。
こういうの、メタ的で好きです。
そしていつもと立場を逆転して部長がプレゼンする側に。
お話し的にはもう使えない手法だと思いますが、なかなかに新鮮でした。
普通に海デートしてるし、邦キチも普通に部長の家に入り浸ってそうだし。
「お前ら、もう付き合っちゃえよ!」感が出てきてるように思いました。
それやっちゃうと邦画プレゼンというテーマがぶれちゃうのでやらないとは思いますが。
相変わらず破天荒な邦画プレゼン漫画ですが、今回は邦キチが記憶喪失になる回が面白かったです。
見た目的にもちょっとキリっとなって、めんどくさい映画オタが言い出すタイプの邦画ツッコミ。
こういうの、メタ的で好きです。
そしていつもと立場を逆転して部長がプレゼンする側に。
お話し的にはもう使えない手法だと思いますが、なかなかに新鮮でした。
2021年2月27日に日本でレビュー済み
3/13追記
うまい例えでないけど、「アニメのちびまる子ちゃん、最初のうちは原作エピソードのお話メインだったのが、続くうちに原作不足になってきて、途中からキャラに光を当ててキャラ中心に話が回っていく話が増えたな~」とか思ってますが、そういう感じのシフトチェンジされつつあるのかな~?
トンデモ邦画自体はまだまだありそうですが(河島英五主演の「トラブルマン 笑うと殺すゾ」(←未見。同時上映は三浦友和、山口百恵主演「ホワイト・ラブ」だったのか(^^;A))、この本はトンデモ邦画の紹介マンガじゃないですもんね、多分(笑)。
さすがに最近の映画も増えてきましたね~。
あと、いわゆる「名作」も入ってきましたね~。
1~3巻あたりで大量に取り上げてきた「元々が”飛び道具”みたいなトン〇モ邦画作品群」とかとは違い、ネタをどう料理するかがさらに肝要になってきましたね。
でも「邦キチが”裏返ってしまう”」お話は、かなり面白かったです。その時取り上げた作品、ディスクに焼いときながら未見で読むの飛ばそうかとも思いましたが、そんなネタばれしてなくてよかったです(笑)。
うまい例えでないけど、「アニメのちびまる子ちゃん、最初のうちは原作エピソードのお話メインだったのが、続くうちに原作不足になってきて、途中からキャラに光を当ててキャラ中心に話が回っていく話が増えたな~」とか思ってますが、そういう感じのシフトチェンジされつつあるのかな~?
トンデモ邦画自体はまだまだありそうですが(河島英五主演の「トラブルマン 笑うと殺すゾ」(←未見。同時上映は三浦友和、山口百恵主演「ホワイト・ラブ」だったのか(^^;A))、この本はトンデモ邦画の紹介マンガじゃないですもんね、多分(笑)。
さすがに最近の映画も増えてきましたね~。
あと、いわゆる「名作」も入ってきましたね~。
1~3巻あたりで大量に取り上げてきた「元々が”飛び道具”みたいなトン〇モ邦画作品群」とかとは違い、ネタをどう料理するかがさらに肝要になってきましたね。
でも「邦キチが”裏返ってしまう”」お話は、かなり面白かったです。その時取り上げた作品、ディスクに焼いときながら未見で読むの飛ばそうかとも思いましたが、そんなネタばれしてなくてよかったです(笑)。
2021年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ウザめの感想なので読まなくてもいいです。
最近、某映画雑誌が炎上しましたが、本作と関係ない話のようで、この新刊を読みながらそうでもないかなあと思いました。
「この邦画にはこんな変なシーンが有る」というのを本作はよくやりますが、これは誰でも楽しく描けるモンでもないように思われます。というのは映画の作り手が変だと自覚していない可能性が結構な確率で存在する、つまり、作り手が真面目にやっていることを変だと突っ込む、というのは一歩間違うと「嘲笑」になってしまいます。
その某映画雑誌では世間が楽しく観ているヒット映画を底抜け映画とかいいつつ嘲笑していたという歴史が事実としてありますが、そうやって自分たちが普通に楽しく観ていた映画を嘲笑的に語られるのは、決して面白いもんではありません。
この5巻の冒頭で部長が「高尚な趣味を理解できない一般人を見下してる映画マニア感が出まくってたのが(邦キチらとの交流を経て)柔らかくなった」と言われますが、それでも尚、まだその映画マニア感が抜けきれてない、と言うことは可能です。韓国映画に語ったくだりで部長は「韓国映画って面白いけど気楽には観辛い、観る前に気合いをいれないといけない」「ずっしり級の重量映画が多い」とありますが「そうなのかなあ?」と思うのです。私は映画をAmazonレンタル以外でほぼ観ませんが、100円セールを利用してこの2年で10本くらい韓国映画をテキトーに選んでレンタルで観ましたが、半数くらいは、重くもなんともない、昔の日本のトレンディードラマが可愛く思えるような、肩までぬるま湯に浸かったかのような映画でしたけども。つまり本書で言及のある、80年代の軍事政権下を描いた映画や、マ・ドンソク主演のハードなアクション、パラサイトや殺人の追憶などの重い映画とは全く異なる、一昔前の冬ソナなどの韓流ドラマの系譜に連なる、いうなればミーハー向けのライトな映画というのもニーズとしてあるのでは、という話です。そっちのファンダムに長らく目を向けてこなかったからこそ某雑誌は炎上したのかも知れない、という。
巻の後半では邦キチが記憶喪失になるエピソードがありますが、これが本作を象徴していると思われます。記憶を失った邦キチが、「前編」の最後のコマで邦画に対して突っ込みをいれまくり、それに対し部長が「そんな普通の人みたいなことを言うな!」と言いますが、此処で邦キチが言うのは「普通の人みたいなこと」ではなく、「映画マニアが邦画に対して言うこと」なのです。さっきも書きましたが普通のひとが楽しく観ているものに対し、冷笑的な突っ込みを入れるという問題な訳です。映画マニアがどんだけ批判しようが福田雄一のニーズが全然失われないよね、新解釈・三国志が酷い言われようだけど調べたらフツーに結構ヒットしてんじゃん、みたいな(この映画の是非でなく、映画マニアの発言が全然世間に訴求しなくなってる、という話)。
この話で邦キチは本作にツッコミを入れまくりますが、それに対する部長のアンサーがこの漫画の魅力である、というメタ的な構造になっとるわけですね。
つまり記憶を失った邦キチが語るような邦画に対する視点というのを大なり小なりこの漫画の作者も持ってはいるけど、作者が表現として選択したのはそういう語り口でなく、部長のアンサーにあるものだと。
そして邦キチと違って変な邦画語りを続けるのが完全に失敗しているのが映画評論家の柳下毅一郎なのですが、その柳下の著作に本作の作者がゲストで参加しているのをみるに、両者の邦画に対するスタンスはみているこっちが思っているほどの違いがなく、アウトプットのやりかたが違うだけ、とも考えられます。
この漫画は作品の構造だけでなく漫画として錬成されてきたのもその魅力に繋がっとると思われます。巻を増すごとに部長と邦キチのラブコメ度が増してますが、なんで部長の部屋の邦キチのブラシが落ちてんだよこいつらもう付き合ってるだろ「灰色の高校生活が変わったよ」とかいうので最高!ラブコメ大好き!というキャラのやり取りが「映画マニア同士の映画プレゼン」を超え、単純に「漫画」として面白くなっている、というのが良いのではないかと。
某読書漫画で「どんな優れたレビューよりも友達がそれを楽しく語っているのを聞くほうがその本を読むきにさせられる」とありましたが、本作のキャラたちのトークがその「友達の楽しい語り」のようなもんになってるのではないでしょうかね。
あとは作者のスタンスとして変な部分を語るのにネガティヴな感情があんま入ってこないというのも大きいでしょう。観た人によると結構出来が良いらしいJOJO4部にしても、そもそも原作再現度云々以前の問題として、荒木作画でない時点で出来が良かろうが観る気が起きないのですが、「なんとなくゆっくり喋っている」というのを読むと観てみようかなあ、という気になります。これが上で触れた「嘲笑」と紙一重なので、諸々含めて綱渡り的に成功した漫画なのかなーと思いました。ネガティヴな映画語りは全部ダメと言いたいわけでは無いですよ、念の為。
あとはその成功の一助として作者が漫画に通じているというのは大きいかなーとも思います。作中にJOJOは映画ネタが多い、とありますがJOJOは同様に漫画ネタも非常に多く、4部冒頭で仗助が不良に絡まれるくだりは「特攻の拓」のマー坊の丸パクリですが、邦画という国内カルチャーを語るにおいて、漫画やアニメというジャンルを理解しておくのは避けて通れず、映画マニアが結構な確率でそれらを軽んじているというのは邦画で史上最大ヒットを記録した鬼滅の刃の映画を誰も語らないあたりで推して知るべしではあります。
…ところで最近、70年代の少女漫画「はいからさんが通る」を読んだのですが、この漫画の少女漫画風の作画の参照元だと思われ絵の雰囲気が非常に似ていたのですが、おかげで自分が生まれる前の漫画を古さを感じずに楽しむ事が出来たのですが、このようにカルチャーの連続性からなる体系によってリアルタイムでない作品も自然に楽しめる、というのがエンタメの理想的なかたちのようにも思え、本作もその縦と横の軸が綱渡り的でも繋がれた結果、映画をそんなに好きでない自分でも楽しく読むことが出来、本作を切っ掛けとして映画を観てみようと思えるようになり、実際にハイローやフランス版シティハンターも観たのでありますが、一方で「テネットを劇場で体験しろ、マンクを理解するために市民ケーンを観ろ」と言われてもまったくその気にはならないので、映画語りとしても理想的な作品となったのかもしれません。だいぶ散漫な感想となりましたが以上です。新作映画がなかなか上映されないなかでは描くのも大変であろうとは思いますが、次巻も楽しみにしております(読んでる最中は特に何も考えずにフツーに楽しく読んでるだけで、こういう事をゴニョゴニョ考えている訳ではありませんので)。
最近、某映画雑誌が炎上しましたが、本作と関係ない話のようで、この新刊を読みながらそうでもないかなあと思いました。
「この邦画にはこんな変なシーンが有る」というのを本作はよくやりますが、これは誰でも楽しく描けるモンでもないように思われます。というのは映画の作り手が変だと自覚していない可能性が結構な確率で存在する、つまり、作り手が真面目にやっていることを変だと突っ込む、というのは一歩間違うと「嘲笑」になってしまいます。
その某映画雑誌では世間が楽しく観ているヒット映画を底抜け映画とかいいつつ嘲笑していたという歴史が事実としてありますが、そうやって自分たちが普通に楽しく観ていた映画を嘲笑的に語られるのは、決して面白いもんではありません。
この5巻の冒頭で部長が「高尚な趣味を理解できない一般人を見下してる映画マニア感が出まくってたのが(邦キチらとの交流を経て)柔らかくなった」と言われますが、それでも尚、まだその映画マニア感が抜けきれてない、と言うことは可能です。韓国映画に語ったくだりで部長は「韓国映画って面白いけど気楽には観辛い、観る前に気合いをいれないといけない」「ずっしり級の重量映画が多い」とありますが「そうなのかなあ?」と思うのです。私は映画をAmazonレンタル以外でほぼ観ませんが、100円セールを利用してこの2年で10本くらい韓国映画をテキトーに選んでレンタルで観ましたが、半数くらいは、重くもなんともない、昔の日本のトレンディードラマが可愛く思えるような、肩までぬるま湯に浸かったかのような映画でしたけども。つまり本書で言及のある、80年代の軍事政権下を描いた映画や、マ・ドンソク主演のハードなアクション、パラサイトや殺人の追憶などの重い映画とは全く異なる、一昔前の冬ソナなどの韓流ドラマの系譜に連なる、いうなればミーハー向けのライトな映画というのもニーズとしてあるのでは、という話です。そっちのファンダムに長らく目を向けてこなかったからこそ某雑誌は炎上したのかも知れない、という。
巻の後半では邦キチが記憶喪失になるエピソードがありますが、これが本作を象徴していると思われます。記憶を失った邦キチが、「前編」の最後のコマで邦画に対して突っ込みをいれまくり、それに対し部長が「そんな普通の人みたいなことを言うな!」と言いますが、此処で邦キチが言うのは「普通の人みたいなこと」ではなく、「映画マニアが邦画に対して言うこと」なのです。さっきも書きましたが普通のひとが楽しく観ているものに対し、冷笑的な突っ込みを入れるという問題な訳です。映画マニアがどんだけ批判しようが福田雄一のニーズが全然失われないよね、新解釈・三国志が酷い言われようだけど調べたらフツーに結構ヒットしてんじゃん、みたいな(この映画の是非でなく、映画マニアの発言が全然世間に訴求しなくなってる、という話)。
この話で邦キチは本作にツッコミを入れまくりますが、それに対する部長のアンサーがこの漫画の魅力である、というメタ的な構造になっとるわけですね。
つまり記憶を失った邦キチが語るような邦画に対する視点というのを大なり小なりこの漫画の作者も持ってはいるけど、作者が表現として選択したのはそういう語り口でなく、部長のアンサーにあるものだと。
そして邦キチと違って変な邦画語りを続けるのが完全に失敗しているのが映画評論家の柳下毅一郎なのですが、その柳下の著作に本作の作者がゲストで参加しているのをみるに、両者の邦画に対するスタンスはみているこっちが思っているほどの違いがなく、アウトプットのやりかたが違うだけ、とも考えられます。
この漫画は作品の構造だけでなく漫画として錬成されてきたのもその魅力に繋がっとると思われます。巻を増すごとに部長と邦キチのラブコメ度が増してますが、なんで部長の部屋の邦キチのブラシが落ちてんだよこいつらもう付き合ってるだろ「灰色の高校生活が変わったよ」とかいうので最高!ラブコメ大好き!というキャラのやり取りが「映画マニア同士の映画プレゼン」を超え、単純に「漫画」として面白くなっている、というのが良いのではないかと。
某読書漫画で「どんな優れたレビューよりも友達がそれを楽しく語っているのを聞くほうがその本を読むきにさせられる」とありましたが、本作のキャラたちのトークがその「友達の楽しい語り」のようなもんになってるのではないでしょうかね。
あとは作者のスタンスとして変な部分を語るのにネガティヴな感情があんま入ってこないというのも大きいでしょう。観た人によると結構出来が良いらしいJOJO4部にしても、そもそも原作再現度云々以前の問題として、荒木作画でない時点で出来が良かろうが観る気が起きないのですが、「なんとなくゆっくり喋っている」というのを読むと観てみようかなあ、という気になります。これが上で触れた「嘲笑」と紙一重なので、諸々含めて綱渡り的に成功した漫画なのかなーと思いました。ネガティヴな映画語りは全部ダメと言いたいわけでは無いですよ、念の為。
あとはその成功の一助として作者が漫画に通じているというのは大きいかなーとも思います。作中にJOJOは映画ネタが多い、とありますがJOJOは同様に漫画ネタも非常に多く、4部冒頭で仗助が不良に絡まれるくだりは「特攻の拓」のマー坊の丸パクリですが、邦画という国内カルチャーを語るにおいて、漫画やアニメというジャンルを理解しておくのは避けて通れず、映画マニアが結構な確率でそれらを軽んじているというのは邦画で史上最大ヒットを記録した鬼滅の刃の映画を誰も語らないあたりで推して知るべしではあります。
…ところで最近、70年代の少女漫画「はいからさんが通る」を読んだのですが、この漫画の少女漫画風の作画の参照元だと思われ絵の雰囲気が非常に似ていたのですが、おかげで自分が生まれる前の漫画を古さを感じずに楽しむ事が出来たのですが、このようにカルチャーの連続性からなる体系によってリアルタイムでない作品も自然に楽しめる、というのがエンタメの理想的なかたちのようにも思え、本作もその縦と横の軸が綱渡り的でも繋がれた結果、映画をそんなに好きでない自分でも楽しく読むことが出来、本作を切っ掛けとして映画を観てみようと思えるようになり、実際にハイローやフランス版シティハンターも観たのでありますが、一方で「テネットを劇場で体験しろ、マンクを理解するために市民ケーンを観ろ」と言われてもまったくその気にはならないので、映画語りとしても理想的な作品となったのかもしれません。だいぶ散漫な感想となりましたが以上です。新作映画がなかなか上映されないなかでは描くのも大変であろうとは思いますが、次巻も楽しみにしております(読んでる最中は特に何も考えずにフツーに楽しく読んでるだけで、こういう事をゴニョゴニョ考えている訳ではありませんので)。