俗に、「一人殺せば殺人犯、千人殺せば英雄」と言う。
本作は、刀で人を殺すことに榎本氏が持てる能力を全振りして3年近くかけて描き上げた、"例によって"人類未到達の領域の殺陣マンガだ。本当に、氏の脳みそは一体どういう構造になっているのだろうか。
本編115P中、殺陣に費やされたページ数はなんと86P。紙面の75%近くも斬って斬って斬りまくるという内容には、ただただ呆れるしかない。しかも、最中はそれが痛快なのだ。斬り介とジョニーが刀を振るい、あるいは投げ、突くたびに野盗どもの頭が、胴が、手足がちぎれ飛ぶ。無論、実際にはこれほど斬れるわけもなく、マンガの中だからこその行為だが、大変に爽快極まり、ページをめくる手が止まらない。誰もが、一気に結末まで読んでしまうことだろう。
しかし、榎本氏が並大抵の漫画家と一線を画すのは殺陣シーンそのものではない。本質は56P目の、現場を見開きの俯瞰で描いて見せた瞬間だ。紙面から、鼻をつく鋭い血の臭いが漂ってくる、あの見開きである。
彼は時々、こうしてさらりと正気に戻る瞬間がある。さんざ遊び倒し、狂いながらも、ふと自己を何メートルか頭上から見下ろして己の行為を冷静に観察する。それは、成果を確かめているようでもあり、サテここからどうするかと思案にふけるようでもある。常にどこかから、己を冷静に見つめているもう一人の榎本氏の存在こそが彼の特異点であり、この凄惨な物語を「それじゃ、遠慮なく」のオチに繋げているのだ。
自身でも「ショート専門」と言うように、本作は榎本氏が己の殻を破り100Pオーバーの長編を描いた、記念碑的な作品でもある(GOLDEN LUCKYの最終巻でも似た試みをしていたが、本格的に長編を描いたのはこれが初めてではなかろうか)。エロは全くないものの、榎本流の殺陣のド迫力に思わず引き込まれてしまうこと請け合いだ。
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斬り介とジョニー四百九十九人斬り (アフタヌーンコミックス) Kindle版
悪党にさらわれた村娘、そしてひょんなことから彼女の奪還を依頼された斬り介とジョニー。二人の最強剣士が舞い踊る、血のサーカスが始まった!
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/12/22
- ファイルサイズ64350 KB
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商品の説明
著者について
榎本 俊二
1968年、神奈川県生まれ。日本映画学校で脚本を専攻。のちの芥川賞作家・阿部和重らと深く交わる。集団芸術よりもパーソナルな漫画に興味を持ち、同校在学中、ちばてつや賞一般部門、アフタヌーン四季賞に入賞。受賞作『GOLDEN LUCKY』でモーニングからデビュー。不条理かつ壮大な世界観で独特なギャグの世界を確立。エログロの金字塔『えの素』、男性作家としては画期的な育児体験漫画『榎本俊二のカリスマ育児』、哲学的な人生観照にあふれた『ムーたち』などで常に物議を醸しつづける。漫画界はもとより、文芸、思想の領域からも熱烈な支持を受け、活動の幅を大いに拡げつつある。ちなみにタレントの河相我聞とよく間違われる。
刊行中の単行本(08年10月1日現在):
『ムーたち』全2巻(講談社)、『えの素 完全版』全3巻(同)、『えの素トリビュート』(共著・同)、『榎本俊二のカリスマ育児』(秋田書店)、『ゴールデンラッキー完全版』全3巻(太田出版) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
1968年、神奈川県生まれ。日本映画学校で脚本を専攻。のちの芥川賞作家・阿部和重らと深く交わる。集団芸術よりもパーソナルな漫画に興味を持ち、同校在学中、ちばてつや賞一般部門、アフタヌーン四季賞に入賞。受賞作『GOLDEN LUCKY』でモーニングからデビュー。不条理かつ壮大な世界観で独特なギャグの世界を確立。エログロの金字塔『えの素』、男性作家としては画期的な育児体験漫画『榎本俊二のカリスマ育児』、哲学的な人生観照にあふれた『ムーたち』などで常に物議を醸しつづける。漫画界はもとより、文芸、思想の領域からも熱烈な支持を受け、活動の幅を大いに拡げつつある。ちなみにタレントの河相我聞とよく間違われる。
刊行中の単行本(08年10月1日現在):
『ムーたち』全2巻(講談社)、『えの素 完全版』全3巻(同)、『えの素トリビュート』(共著・同)、『榎本俊二のカリスマ育児』(秋田書店)、『ゴールデンラッキー完全版』全3巻(太田出版) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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2019年4月23日に日本でレビュー済み
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18人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2022年2月13日に日本でレビュー済み
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静止画で動きを表現するマンガの凄さここに極まれりです。
カッコよい切断劇という感じで、
一方的に敵方は蹂躙されるのみです。これは戦闘とは呼べないでしょう。
その意味で、これはバトルマンガとも違うニッチでクールな何かです。
この作品は難産だったそうですが、こんなに描く側にとって
コスパの悪い作品もなかなかないと思います。読む側は一瞬です。
マンガ家には頭があがらないですね。
榎本さんの漫画で初めて読んだDDDの番外マンガを思い出しました。
あれもカッコいい動きに極ぶりしたマンガでしたね…
カッコよい切断劇という感じで、
一方的に敵方は蹂躙されるのみです。これは戦闘とは呼べないでしょう。
その意味で、これはバトルマンガとも違うニッチでクールな何かです。
この作品は難産だったそうですが、こんなに描く側にとって
コスパの悪い作品もなかなかないと思います。読む側は一瞬です。
マンガ家には頭があがらないですね。
榎本さんの漫画で初めて読んだDDDの番外マンガを思い出しました。
あれもカッコいい動きに極ぶりしたマンガでしたね…
2017年7月1日に日本でレビュー済み
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ハッキリ言って面白くはないですが、これを描こうと思ってみると…頭が下がります。榎本俊二先生の動きと質感の描写を最大限生かして、全力でアクセルを踏んだらどうなるかを描いた実験作です。
アクションというより本当に「斬る」だけの漫画なので、どちらかというと残酷シーンの参考になりそう。
ストーリーは必要最小限しかありませんが、ところどころ『えの素』のような不条理さも感じられます。特に主人公二人は現実なら絶対会いたくない天然っぷりです。
アクションというより本当に「斬る」だけの漫画なので、どちらかというと残酷シーンの参考になりそう。
ストーリーは必要最小限しかありませんが、ところどころ『えの素』のような不条理さも感じられます。特に主人公二人は現実なら絶対会いたくない天然っぷりです。
ベスト100レビュアーVINEメンバー
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丁度本作が届く前に小池一夫さんと小島剛夕さんの「子連れ狼」を読んでいたのですが、あの拝一刀でさえも斬罵刀以外に散弾銃と長巻を使って一度には250人位しか殺していないのにも関わらず、本作は斬り介とジョニーで499人ですよ(実際数える様な野暮な真似はしていませんが)。
作者の榎本さんは昔から人があっさり死ぬ漫画を沢山書いて居られましたが(その多くは次の週には生き返っていましたが)、本作はバラードの『クラッシュ』の様に残虐描写の衝撃的な羅列と言うか、人を斬る爽快感を丸々百ページ漫画で続けたらどうなるか、その間人の興味を引き続けるか、と言う実験精神から描かれたのでしょうか。
おまけのあとがき漫画で誕生秘話が触れられて居るとも言えますが、余り意味の無い事かも知れません。
はっきり言って本作は面白かったですが、榎本さんの同じテーマによる漫画のおかわりは謹んで辞去させて頂きます。
作者の榎本さんは昔から人があっさり死ぬ漫画を沢山書いて居られましたが(その多くは次の週には生き返っていましたが)、本作はバラードの『クラッシュ』の様に残虐描写の衝撃的な羅列と言うか、人を斬る爽快感を丸々百ページ漫画で続けたらどうなるか、その間人の興味を引き続けるか、と言う実験精神から描かれたのでしょうか。
おまけのあとがき漫画で誕生秘話が触れられて居るとも言えますが、余り意味の無い事かも知れません。
はっきり言って本作は面白かったですが、榎本さんの同じテーマによる漫画のおかわりは謹んで辞去させて頂きます。