広告を見て興味を持ち、第1巻を読んでみたのですが、主人公が復習を果たすべく鍛錬を積む場面が描かれるでもなく、単純悪である敵役が納得感のある仕掛けを以てやっつけられる爽快感を味わえるでもなく、ことの善悪を考えさせられる様な敵役のバックグラウンドが感じられる訳でもなく、陰惨な宿命を背負う主人公を取り巻く人間関係に救いの兆しが見受けられるでもなく、この手の「復習もの」に期待される明暗両面の美しさが最後まで何も描かれない作品であることを予感しました。
見るからに救いようの無い悪人である敵役5人が、実はその後更生していて処刑するべきではないのかも的な「焦らし」があるのですが、焦らしとしての演出には失敗していると思いますし、個々のキャラの悪質性を裏付ける設定や過去のエピソードの類は悉く陳腐で、ああコイツはやっぱり殺されて当然だなと思わせるためだけの不快な描写が延々と続く印象。さらに余計なのは、ヒロイン役の女子が時々唐突に披露するエロカット。この女子がまた悲しくなる程おつむが弱い子で、主人公の救いにも戒めにもならない希薄な記号的キャラでしかありません。序盤で変質者にレイプされかけたにも関わらず、その後友人に騙されて連れていかれた売春サークルにはいとも簡単に順応しようとするし、そこの首謀者のわざとらしい二面性にほだされて「意外とイイ人なのかも・・・」などと靡きかけてしまうところなど、あまりにも人間味が無さ過ぎて、読み進むにつれどんどん気持ちが白けていくのを感じました。
報復モノ・処刑モノと言えば例えば「仕事人シリーズ」が王道ですが、かの一連の作品においては、悪の枢軸の取り巻きの中には只の下っ端が含まれていることも多く、敵役の悪質性にもムラがあるのが常だったと思いますし、どんな悪役もこの作品で描かれているほど救いようの無い極悪人ではないことも多かったと思います。それでも、恨みを持つ側からみれば仇を成す対象としては明確で、最後に殺られる場面は滑稽なほど呆気なくシンプルだったことが多いと思います。悪人側の事情や心情は敢えて描かず、なればこそ罪の重さのみが強調され、処刑という手段にも納得感と悲壮感が宿っていたと思います。
一方この作品においては、加害者たちの悪質性を強調するための「余罪」が執拗に追加されます。私が読んだのは5人のうち2人目までですが、過去に主人公に加えられた暴力が既存の事実として重く見られているというよりは、それぞれの加害者がどれだけ酷い人間なのかということを後付けし、殺害することを正当化するための理屈を不自然なまでに塗り重ねていると感じました。
現に作中でも言及されていたと記憶していますが、この作品は「人を殺す動機」を描くことにより「どういう人間なら殺してもよいのか」を定義することを目指している様にも思えます。掲載誌の対象年齢をみると、本当にこれを子供や若者に読ませていいのかなという思いが拭えません。
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十字架のろくにん(1) (KCデラックス) コミック – 2020/8/7
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人は、殺してもいい?
「別マガ」沸騰の新星・中武士竜が描く、背徳の復讐サスペンス!
「俊、改心した者は見逃せ。人には生まれ変わるチャンスが必要や。」
「じいちゃん、僕は奴らが変わってないことを祈るよ。」
──人ならざる化け物たちを斃すため、少年もまた、人ならざる何かに成った。
“実験体A”と名付けられ、同級生5人から嬲られる日々。小学6年生の漆間俊は、壮絶ないじめに苦しむ「地獄」の中にいた。だが、そこには兄想いの弟と、子を守る父母という「救い」があった。あの日、5人の化け物たちが、鬼畜の所業で家族を奪い去るまでは……。やがて、全てを失い、真の地獄を見た俊の中に暗い「願い」が宿った。戦時中、秘密部隊に所属した祖父の指導の下、生まれ変わる少年。そして4年が経った時、彼は因縁の敵の前に姿を現す……。この復讐は誰にも渡さない。
「別マガ」沸騰の新星・中武士竜が描く、背徳の復讐サスペンス!
「俊、改心した者は見逃せ。人には生まれ変わるチャンスが必要や。」
「じいちゃん、僕は奴らが変わってないことを祈るよ。」
──人ならざる化け物たちを斃すため、少年もまた、人ならざる何かに成った。
“実験体A”と名付けられ、同級生5人から嬲られる日々。小学6年生の漆間俊は、壮絶ないじめに苦しむ「地獄」の中にいた。だが、そこには兄想いの弟と、子を守る父母という「救い」があった。あの日、5人の化け物たちが、鬼畜の所業で家族を奪い去るまでは……。やがて、全てを失い、真の地獄を見た俊の中に暗い「願い」が宿った。戦時中、秘密部隊に所属した祖父の指導の下、生まれ変わる少年。そして4年が経った時、彼は因縁の敵の前に姿を現す……。この復讐は誰にも渡さない。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2020/8/7
- 寸法13 x 1.4 x 18.3 cm
- ISBN-104065201225
- ISBN-13978-4065201220
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ベスト500レビュアー
Amazonで購入
子供ながらに残忍な性質をもった5人にいじめぬかれ家族を殺された主人公の復讐劇。
1話試し読みでちょっと良さそうと思い3冊まとめて購入しましたが、
かなり浅い漫画でした。
主人公は特殊訓練を積み復讐に向かうとのことですが、その特訓風景もウンチクも一切はしょられ
3巻読み終えても特になしに等しい(一応それっぽい事を言いますが嘘だろ?ぐらい薄い机上の空論)。
また被対象者のいじめ側も「いじめをするために用意されたキャラクターです」以外の何物でもない。
RPGの敵キャラぐらい都合のいい悪役でバックボーンも何もありません。
ヒロイン役のキャラクターも、なんだかよくわからないけど無意味に主人公大好きかも!になって
危険に飛び込みまくり売春させられそう、まぁいいか仕方ないねー、とかRPGのモブにしても
気持ち悪いぐらいのロボットっぷり。悪役につかまり誘い出すためだけに用意されたキャラクター。
捜査する刑事らも、警察のこと調べずにドラマや漫画で読んだ知識だけで描いてるのがバレバレの
薄い人物と行動です。
このように登場人物も状況もイベントも全てが用意された薄さで、なんとも。
また合間合間に入るギャグ?が寒くてとどめをさされました。
1話試し読みでちょっと良さそうと思い3冊まとめて購入しましたが、
かなり浅い漫画でした。
主人公は特殊訓練を積み復讐に向かうとのことですが、その特訓風景もウンチクも一切はしょられ
3巻読み終えても特になしに等しい(一応それっぽい事を言いますが嘘だろ?ぐらい薄い机上の空論)。
また被対象者のいじめ側も「いじめをするために用意されたキャラクターです」以外の何物でもない。
RPGの敵キャラぐらい都合のいい悪役でバックボーンも何もありません。
ヒロイン役のキャラクターも、なんだかよくわからないけど無意味に主人公大好きかも!になって
危険に飛び込みまくり売春させられそう、まぁいいか仕方ないねー、とかRPGのモブにしても
気持ち悪いぐらいのロボットっぷり。悪役につかまり誘い出すためだけに用意されたキャラクター。
捜査する刑事らも、警察のこと調べずにドラマや漫画で読んだ知識だけで描いてるのがバレバレの
薄い人物と行動です。
このように登場人物も状況もイベントも全てが用意された薄さで、なんとも。
また合間合間に入るギャグ?が寒くてとどめをさされました。
ベスト1000レビュアー
Amazonで購入
広告で見かけて最初はスルーしてたんですが、、、刷り込み?とは怖いものでふとしたタイミングで一回読んでみようかなという気分になり手を出してみました。
完全にフィクションとしての異世界モノの復讐モノはいくつも読んだ事はあるし、ドラマや映画なんかで復讐劇もいくつも観たことはありますが
そう言えば、、こういった学校でのいじめの被害者が加害者達に復讐をしていくという話は実は初めて読みました。
いじめと言うと法治国家なはずの日本なのになぜかふんわりとした感じで使われていますが実際の内容を見聞きすると個人や集団による暴力や器物破損、脅迫恐喝などの犯罪てんこ盛りセットなのでもっともっと厳しく罰し対処していく必要が有ると思うんですが、、、
と、話がそれましたが、
本作は小学生時代にいじめにあっていた主人公男子と加害者男子5人が主な登場人物です。
悪の加害者5人のリーダー格の至極 京という男は相当なサイコパスで、普通の殺人は何かしら理由があるが、裕福な家庭で両親の愛を受け育ち、友人にも恵まれている自分が理由のない、渇きのない殺人を初めて行う人間になる!とか考えてます。
ヤバいです。
これで小学生とかそうとう思考がねじ曲がってます。
そして、弱者を直接的にも間接的にも殺すっっ!とか考えていてその被験者として目をつけられたのが主人公のようです。
思いきって両親にいじめられている事を明かす主人公。
両親は安易に男なら負けるな!やり返せ!とか言いません。
転校する手続きを手早く進めその間学校を休む主人公。
そんな時事件が起こります。
主人公の母親と弟が父のお迎えに車で崖道を通る事を事前に調べ、
なおかつそれを主人公に携帯で告知した上で、車の前に5人の悪の仲間の1人を突然突き飛ばし??!!(至極京の思考がヤバすぎる)
咄嗟に避けた両親達は崖下に転落、、、
さらに生存者が居ないか確かめに行き、最後は火を放ち、、、
いやこれ悪意というか極悪が過ぎるというか、、悪魔?え?!人間?!
奇跡的に弟君が生きていたが全身大火傷で怪我もひどく一生寝たきりかも、、と看護師さん達が言うレベル
両親が亡くなり身寄りがない状態になり主人公が思いあたったのが祖父。
生前の両親が怖い人だ、とか関わっちゃいけません!とか言ってたあの祖父、、
ここまでがプロローグでしょうか。
軍の特殊部隊で殺しを極めたおじいちゃんに鍛えられ4年が過ぎ、、、
「不屈の何かに成った」主人公
で1話が終わります。濃い。特濃でした。
そして第2話が高校生となりあの極悪の仲間のうち2人と同じ学校というシチュエーションで始まります!
クラスメイトの東(あずま)さんにちょっとしたきっかけで注目される主人公。
恋愛要素!?
いやー個人的には悪の奴らに何かされる生贄ポジションでは?とか思ってたらやはり、、、
おじいちゃんとは悪の一味が改心していたなら、、、許してやれ、でも万が一、改心して無ければ徹底的にやればいいと約束した主人公。
果たしてヤツらは改心してるのか??!
今巻終盤では悪の一味の1人に思いがけない伏兵?のせいもあり捕縛されてしまいます。
縄抜け殺しとかいう絶対抜けれない縛り方で椅子に縛り付けられ一方的に嬲られる主人公、、、ネイルガンは人に向けて打ってはいけません。
至極ほどでは無いにしてもこの男も大概サイコパスでした。
どうなる主人公!
そして最後はいい場面?で次巻へと持ち越しです。
完全にフィクションとしての異世界モノの復讐モノはいくつも読んだ事はあるし、ドラマや映画なんかで復讐劇もいくつも観たことはありますが
そう言えば、、こういった学校でのいじめの被害者が加害者達に復讐をしていくという話は実は初めて読みました。
いじめと言うと法治国家なはずの日本なのになぜかふんわりとした感じで使われていますが実際の内容を見聞きすると個人や集団による暴力や器物破損、脅迫恐喝などの犯罪てんこ盛りセットなのでもっともっと厳しく罰し対処していく必要が有ると思うんですが、、、
と、話がそれましたが、
本作は小学生時代にいじめにあっていた主人公男子と加害者男子5人が主な登場人物です。
悪の加害者5人のリーダー格の至極 京という男は相当なサイコパスで、普通の殺人は何かしら理由があるが、裕福な家庭で両親の愛を受け育ち、友人にも恵まれている自分が理由のない、渇きのない殺人を初めて行う人間になる!とか考えてます。
ヤバいです。
これで小学生とかそうとう思考がねじ曲がってます。
そして、弱者を直接的にも間接的にも殺すっっ!とか考えていてその被験者として目をつけられたのが主人公のようです。
思いきって両親にいじめられている事を明かす主人公。
両親は安易に男なら負けるな!やり返せ!とか言いません。
転校する手続きを手早く進めその間学校を休む主人公。
そんな時事件が起こります。
主人公の母親と弟が父のお迎えに車で崖道を通る事を事前に調べ、
なおかつそれを主人公に携帯で告知した上で、車の前に5人の悪の仲間の1人を突然突き飛ばし??!!(至極京の思考がヤバすぎる)
咄嗟に避けた両親達は崖下に転落、、、
さらに生存者が居ないか確かめに行き、最後は火を放ち、、、
いやこれ悪意というか極悪が過ぎるというか、、悪魔?え?!人間?!
奇跡的に弟君が生きていたが全身大火傷で怪我もひどく一生寝たきりかも、、と看護師さん達が言うレベル
両親が亡くなり身寄りがない状態になり主人公が思いあたったのが祖父。
生前の両親が怖い人だ、とか関わっちゃいけません!とか言ってたあの祖父、、
ここまでがプロローグでしょうか。
軍の特殊部隊で殺しを極めたおじいちゃんに鍛えられ4年が過ぎ、、、
「不屈の何かに成った」主人公
で1話が終わります。濃い。特濃でした。
そして第2話が高校生となりあの極悪の仲間のうち2人と同じ学校というシチュエーションで始まります!
クラスメイトの東(あずま)さんにちょっとしたきっかけで注目される主人公。
恋愛要素!?
いやー個人的には悪の奴らに何かされる生贄ポジションでは?とか思ってたらやはり、、、
おじいちゃんとは悪の一味が改心していたなら、、、許してやれ、でも万が一、改心して無ければ徹底的にやればいいと約束した主人公。
果たしてヤツらは改心してるのか??!
今巻終盤では悪の一味の1人に思いがけない伏兵?のせいもあり捕縛されてしまいます。
縄抜け殺しとかいう絶対抜けれない縛り方で椅子に縛り付けられ一方的に嬲られる主人公、、、ネイルガンは人に向けて打ってはいけません。
至極ほどでは無いにしてもこの男も大概サイコパスでした。
どうなる主人公!
そして最後はいい場面?で次巻へと持ち越しです。
2022年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
家族をあんなめにあわした復讐をヤバ気なおじいちゃんの協力を得てこころみるという押切蓮介漫画のパクリのような設定だが人間を善と悪に分類し後者は屠ってヨシ!というので優生思想でしかなく実験体扱いする連中と同じ穴の狢じゃんというのをわかった上でこんな話にするという一部の少年漫画がだいすきなカストリ雑誌精神の継承者のひとつなんだけど継承しないでくれませんかね?としかいいようないっすよ。その先の未来にまってるのは文化の墓場だけじゃん。