隆慶一郎の時代小説は、史実とフィクションを巧みに混ぜた構想力がすばらしい。
それまで知名度の高くなかった前田慶次郎は『一夢庵風流記』によっていちやく傾
奇者の代表者として有名になった。
慶次郎は自分の命を狙った忍者、刺客を自分の信奉者にしてしまうところがすごい。
とりわけ武田の凄腕忍者「骨」を篭絡するするシーンがおもしろい。慶次郎は誰と
でも友だち付き合いができる。馬でさえ友だちづきあい。この馬を手に入れる場面
の描写は隆慶一郎の独壇場。この馬の危険を察知する能力、敵を容赦な蹴殺す攻撃
力、抜群の走力によって慶次郎は何度も危機を切り抜ける。
慶次郎は高天原で乱暴狼藉をはたらいて底根国に追い払われた素戔嗚尊の末裔とし
て描かれた。不羈奔放なさすらい人、意表を突く奇行で天下の評判になったが、も
ともとは剛毅ないくさ人だ。闘争場面の描写は隆慶一郎ならではのさまざまな工夫
がこらされている。とりわけ、太閤秀吉の御前でかぶいてみよといわれ、こともあ
ろうにサル踊りを演じ、秀吉と心の中で対決するシーンにはしびれた。読み終わっ
たらまた読みたくなる、時代小説の傑作中の傑作だ。
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一夢庵風流記(新潮文庫) Kindle版
価格 | 新品 | 中古品 |
戦国末期、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られる男がいた。派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き方を描く時代長編。
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1991/8/31
- ファイルサイズ967 KB
出版社より
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影武者徳川家康〔上〕 | 影武者徳川家康〔中〕 | 影武者徳川家康〔下〕 | 死ぬことと見つけたり〔上〕 | 死ぬことと見つけたり〔下〕 | |
家康は関ヶ原で暗殺された!余儀なく家康として生きた男と権力に憑かれた秀忠の、風魔衆、裏柳生を交えた凄絶な暗闘が始まった。 | 武士道とは死ぬことと見つけたり──常住坐臥、死と隣合せに生きる葉隠武士たち。鍋島藩の威信をかけ、老中松平信綱の策謀に挑む! |
商品の説明
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
隆/慶一郎
1923‐1989。東京生れ。東大文学部仏文科卒。在学中、辰野隆、小林秀雄に師事する。編集者を経て、大学で仏語教師を勤める。中央大学助教授を辞任後、本名・池田一朗名で脚本家として活躍。映画「にあんちゃん」の脚本でシナリオ作家協会賞受賞。’84年、『吉原御免状』で作家デビュー。’89年には『一夢庵風流記』で柴田錬三郎賞を受賞。時代小説界に一時代を画すが、わずか5年の作家活動で急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1923‐1989。東京生れ。東大文学部仏文科卒。在学中、辰野隆、小林秀雄に師事する。編集者を経て、大学で仏語教師を勤める。中央大学助教授を辞任後、本名・池田一朗名で脚本家として活躍。映画「にあんちゃん」の脚本でシナリオ作家協会賞受賞。’84年、『吉原御免状』で作家デビュー。’89年には『一夢庵風流記』で柴田錬三郎賞を受賞。時代小説界に一時代を画すが、わずか5年の作家活動で急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
内容(「BOOK」データベースより)
死ぬも生きるも運まかせ。たった一騎で戦場に斬り込み、朱柄の槍を振り回す―。戦国時代末期、無類のいくさ人として、また、茶の湯を好む風流人として、何よりもまた「天下のかぶき者」として知られた男、前田慶次郎。乱世を風に舞う花びらのように、美しく自由に生きたその一生を描く、第2回柴田錬三郎賞受賞の話題作。 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B0099FLF56
- 出版社 : 新潮社 (1991/8/31)
- 発売日 : 1991/8/31
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 967 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 541ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 103,874位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 368位歴史・時代小説 (Kindleストア)
- - 3,366位新潮文庫
- - 12,063位日本の小説・文芸
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1923-1989)東京生れ。東大文学部仏文科卒。在学中、辰野隆、小林秀雄に師事する。編集者を経て、大学で仏語教師を勤める。中央大学助教授を辞任後、本名・池田一朗名で脚本家として活躍。映画「にあんちゃん」の脚本でシナリオ作家協会賞受賞。1984年、『吉原御免状』で作家デビュー。1989年には『一夢庵風流記』で柴田錬三郎賞を受賞。時代小説界に一時代を画すが、わずか5年の作家活動で急逝。
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カスタマーレビュー
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殿堂入りベスト500レビュアー
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ベスト1000レビュアー
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豊臣秀吉・石田三成の命で朝鮮に派遣されることになった際に、「俺は朝鮮を知りたいわけじゃない。地図が描きたいとも思わない。ただただうろうろ歩いて、風土を見、人に会えばいい。朝鮮の人間が何を着、何を喰い、どんな酒を呑み、どんな夢を見るか。そいつが判ればそれでいい。出来れば心の許せる友の一人も見つかればこれに過ぎたるものはない」と言い張り、言葉もわからずに友達が出来るかという意見に「そもそも友とは何かを喋るものかね」と反論する下りが好き。
2019年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前田慶次郎!
なんて魅力的な人が歴史上にいたとは!
学識溢れる風流人であり、剛毅ないくさ人。
優しく、繊細で、人が人であるために、何が必要であるか
人を人たらしめる条件を、何より生きるに値する人である条件を承知している男とは、どんな男なのか?興味しんしんで購入したら、
小さな字で結構ボリューム…
これ読めるかな、漫画にしたら良かったかな、と思ったけど、読み始めたら、一気に読めました。
これほど面白い小説には、なかなか出会えません
なんて魅力的な人が歴史上にいたとは!
学識溢れる風流人であり、剛毅ないくさ人。
優しく、繊細で、人が人であるために、何が必要であるか
人を人たらしめる条件を、何より生きるに値する人である条件を承知している男とは、どんな男なのか?興味しんしんで購入したら、
小さな字で結構ボリューム…
これ読めるかな、漫画にしたら良かったかな、と思ったけど、読み始めたら、一気に読めました。
これほど面白い小説には、なかなか出会えません
2019年5月4日に日本でレビュー済み
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懐かしくなって再読しました。本書を私は、著者の美学を時代小説という形で描いたハードボイルドとして受け止めたようです。例えば恋愛に関して、相手の目を通して見るという趣旨が語られます。色好みというエピソードで。強さとは何か、誇りとは何か、様々な美学が語られます。コミックスも通読しましたが、私はこの小説、著者の文体と息遣いを通して、ストーリーの後ろにある著者の理想に触れました。
多感な時期に接しましたから、懐かしさだけでなく、自己形成する際に著者の胸をお貸しいただいたのだと、気付かされました。
奇をてらうこと、目立つこと。その裏側にある感受性の高さ。
陽気さの裏にある悲しみと無念さ。
何より、誇りとは何かが本書の通低音ではないでしょうか。
多感な時期に接しましたから、懐かしさだけでなく、自己形成する際に著者の胸をお貸しいただいたのだと、気付かされました。
奇をてらうこと、目立つこと。その裏側にある感受性の高さ。
陽気さの裏にある悲しみと無念さ。
何より、誇りとは何かが本書の通低音ではないでしょうか。
2015年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
余り予備知識なしに読んだが、相当面白かった。
時は豊臣秀吉から徳川家康に移り変わる江戸幕府の夜明け前。
その時代に、実在した前田慶次郎というカブキ者の生涯をたどった壮大なエンタテイメント小説。
花の慶次というマンガで知っていたが、その原作となる小説らしい。
何をおいても、この主人公のキャラクターが魅力的に光っていた。
さらには周りを取り巻く命を狙いながらも、無二の部下となっていく忍びの骨や金、
そのほかの人物たちもとても生き生きと躍動していて、超大作ながらもあっというまに読み終わった。
前田慶次郎は、闘いの中でしか生きられない、それでいて風流で知的である。
全ての男が惚れてしまう漢(おとこ)が小説内に生き生きと活動していた。
しかし、冷静に考えると恐ろしい時代だ…時の権力者に籠絡された国々は殺戮によって、侵略される。
美化された戦国時代も、今の内戦が激しい国となんらかわりない。国が安定するためには権力争いは欠かせない。
時は豊臣秀吉から徳川家康に移り変わる江戸幕府の夜明け前。
その時代に、実在した前田慶次郎というカブキ者の生涯をたどった壮大なエンタテイメント小説。
花の慶次というマンガで知っていたが、その原作となる小説らしい。
何をおいても、この主人公のキャラクターが魅力的に光っていた。
さらには周りを取り巻く命を狙いながらも、無二の部下となっていく忍びの骨や金、
そのほかの人物たちもとても生き生きと躍動していて、超大作ながらもあっというまに読み終わった。
前田慶次郎は、闘いの中でしか生きられない、それでいて風流で知的である。
全ての男が惚れてしまう漢(おとこ)が小説内に生き生きと活動していた。
しかし、冷静に考えると恐ろしい時代だ…時の権力者に籠絡された国々は殺戮によって、侵略される。
美化された戦国時代も、今の内戦が激しい国となんらかわりない。国が安定するためには権力争いは欠かせない。