電子版でお勧めされたのがポイント還元セールだったので買ってひさしぶりによんでみた。文庫版には宇多丸の解説がついていた記憶があるが電子にはない…。
この対談の単行本は2冊めがでたあとで知って3冊目もふくめ全部かってよんだのだが、映画秘宝という雑誌は全然好きじゃなかったけどこの対談はおもしろかった。この対談をきっかけとして観た映画がたしか2,30本くらいはあったとおもう。観たなかでもいちばんすきな映画であるスコーピオンの回がこのベスト版には無いが…。
ベストにも収録されている、本書がきっかけで観たバトルフィールドアースの回に「トラボルタ、大喜びで『その調子だ!』」とあるのだがこれがいまだによくわからない。VHSで観たけどしかめっ面で「調子に乗るな」って言ってたから逆じゃん…わるからず思ってるには違いないだろうけどって…。公開当時と内容が差し替えられたのかなあとずっと気になっている…。
掲載雑誌が好きでなくても本書は楽しめたのは対談形式…漫才と言っている…からだとおもう。いってることがどこまで本気なのかわからない感じ。間違ってても笑わせようとしてそう言ってるのかなあと。本書にも言及のある、のちの邦画鼎談本になると笑える要素がまるでなくなるのでこの対談にて町山の担っていた役割はおおきかったと思われ。最終回はなんだか柳下が別れを切り出された愛人のようである…。
このベストは構成がよくできており、最初の回が「タイタニックは登場人物の掘り下げが浅いので感動できないからのスターシップトゥルーパーズ(町山は原作とのちがいを批判し、それを聞く柳下は面白そうというスタンス)」で、つづけてキネ旬と映画芸術のベストテンを比較しつつ語る回なのでこの雑誌のカウンターカルチャー的立ち位置がわかりやすい。タイタニックは日本でも大ヒットしたので、まったく当時の世間の代弁になってない映画語りなんである。
たぶんタイタニックの頃はあまり売れてなかった雑誌が売れるようになった後半でいっとき流行ったセカチューを紋切り型と批判一辺倒なので立ち位置はあまり変わってないのだが、そこで紋切り型の元ネタとして70年の映画を挙げたりするので、セカチューを観に行った当時の若い世代もンな事言われてもそんな古い映画知ってるわけ無いじゃんと困るだろう…とおもう。
紋切り型と理解するには元ネタを観ないと始まらないのだがそういう映画をカウンターカルチャー的立ち位置のこの雑誌はあまり紹介しなかったんでないかと。本書には90年代後半の記事ではあるがことしの7月に閉館が発表されてる岩波ホールで観た映画は人生で惑星ソラリス1本だけ、なる発言も出てくる。
そんで売れてカウンターからメインに移行してもライターの立ち位置があまり変わらないので、上をみながら嘲笑ってたのがいつの間にか下をみて嘲笑うとゆーかたちになっちゃったようにもみえ。この対談は「漫才」なのでそのへんは笑って済まされるものであったかもだけども。
お笑い芸人のむかしの漫才やコントなどを今みると倫理的にどうなの…なことをやってるのがあるけども本書もそれといっしょっぽい。
時代の変化にあわせた配慮がそのまま本書には刻まれており、ある蔑称ワードを使っているのが途中から別のワードに変更され、以降はそのワードはほぼ使わなくなる。
一方で単行本版と表現が変わっている部分もみうけられるが元の表現は確かにマズかろう。アイズワイドシャットでのとある映画評論家への発言は完全アウトなので本書では発言が改変されているし、ロストイントランスレーションの項の後半部分が本書だと丸々削除されているが流石に文藝春秋はこれを載せないだろう(監督のアジア人への差別感情に批判的に言及しといてあれだから話にならない)。
…そんな過去を今からただ批判するのもよろしくないがその辺の価値観や立ち位置の変化が時代の流れと適切に沿っていたかどーか、ってのがこんにちの様々な状況にも繋がってくるようにもおもわれ、しかしオリジナルが絶版となり、この「ベスト」で断りもなく発言の修正(事実と異なる発言を正したのと違う)が行われているので後の世代には当時が正しく理解できなくなる、ということやだいぶ懐かしい名前もちらほらでてくるのでいまさら読んでもいろいろとおもしろくよめた。
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ベスト・オブ・映画欠席裁判 Kindle版
映画より面白い映画評論がここにある! 町山智浩&柳下毅一郎による、伝説の映画活字漫談が1冊になって堂々復活。映画へのほとばしる愛ゆえに怒り、ツッコむ2人が、ときに対立も辞さず語り尽くす。『千と千尋の神隠し』のアンタッチャブルなテーマを喝破し、『スター・ウォーズ』を『巨人の星』に、『チャーリーズ・エンジェル』を「通いたい店」に喩える掛け合いは、まさにこのコンビならではのもの。傑作はもとより、クサしている映画までつい観たくなること請け合いの、怒濤の91本。
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2012/3/10
- ファイルサイズ750 KB
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
編集者として雑誌『映画秘宝』を創刊した後に渡米し、現在はバークレー在住のコラムニスト・映画評論家として多数の連載を抱える町山智浩と、東京大学工学部卒業後にJICC出版局(現宝島社)勤務を経てフリーになった、映画評論家であり殺人研究家であり特殊翻訳家の柳下毅一郎。
そんな伝説の活字漫才コンビ、復活!
映画へのあふれる愛ゆえに怒り、ツッコミ、笑い、時に対立も辞さず語りつくす。『千と千尋の神隠し』のアンタッチャブルなテーマを喝破し、『スター・ウォーズ』を『巨人の星』に、『チャーリーズ・エンジェル』を「通いたい店」にたとえて止まらない、対話型暴走映画評論集。(解説・宇多丸〈ライムスター〉) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
そんな伝説の活字漫才コンビ、復活!
映画へのあふれる愛ゆえに怒り、ツッコミ、笑い、時に対立も辞さず語りつくす。『千と千尋の神隠し』のアンタッチャブルなテーマを喝破し、『スター・ウォーズ』を『巨人の星』に、『チャーリーズ・エンジェル』を「通いたい店」にたとえて止まらない、対話型暴走映画評論集。(解説・宇多丸〈ライムスター〉) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
町山/智浩
昭和37(1962)年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。編集者として雑誌『映画秘宝』を創刊した後に渡米。現在はカリフォルニア州バークレー在住。コラムニスト・映画評論家として連載多数
柳下/毅一郎
昭和38(1963)年大阪生まれ。映画評論家、殺人研究家、特殊翻訳家。東京大学工学部卒業。JICC出版局(現宝島社)勤務を経てフリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
昭和37(1962)年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。編集者として雑誌『映画秘宝』を創刊した後に渡米。現在はカリフォルニア州バークレー在住。コラムニスト・映画評論家として連載多数
柳下/毅一郎
昭和38(1963)年大阪生まれ。映画評論家、殺人研究家、特殊翻訳家。東京大学工学部卒業。JICC出版局(現宝島社)勤務を経てフリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B00EPXFLP2
- 出版社 : 文藝春秋 (2012/3/10)
- 発売日 : 2012/3/10
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 750 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 457ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 69,600位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 252位文化人類学一般関連書籍
- - 881位文化人類学・民俗学 (Kindleストア)
- - 2,385位社会学 (Kindleストア)
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著者について
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映画評論家、コラムニスト。1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。宝島社社員を経て、洋泉社にて『映画秘宝』を創刊。現在カリフォルニア州バークレーに在住。TBSラジオ「たまむすび」レギュラー。週刊文春などにコラム連載中。映画評論の著作に『映画の見方がわかる本』『ブレードランナーの未来世紀』『トラウマ映画館』『トラウマ恋愛映画入門』など。アメリカについてのエッセイ集に『底抜け合衆国』『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』などがある。
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カスタマーレビュー
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2013年11月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分が見た映画が沢山批評されていて、自分の感想とは大部分が異なった批評がされていて、ああこんな見方や感じかたが有るのかと面白く思いましたが、対談形式の文章なので面白く盛り上げようと片寄った感想もデフォルメした部分が大いと感じました
2015年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
TBSラジオの「小島慶子キラキラ☆」~「たまむすび」と週一レギュラーの町山さんの話を聞いて何年になるでしょう。町山さんの話を聞いて何本の映画を見たことか。社会人になって家族ができると、自分の好きな映画を見る時間はなかなか持てなくなります。でも、映画って本当に素晴らしい文化だと思います。この本は映画を観ようとする力を与えてくれるとともに、過去に観た映画をを町山さんがどう観たかを楽しむことができます。また、映画行こう!
2012年5月14日に日本でレビュー済み
映画漫才コンビの二人が、数多くの映画を斬り捨てていった3冊の単行本の選りすぐりの50本をまとめたベスト版で、かなりお得な内容。
基本的に、映画に対する悪口満載でそれが面白いのだけど、豊富な映画知識に裏打ちされてるので、正鵠を射ていているのも確か。
この映画はこういう見方も出来るんだ、と新たに発見させてくれるのが嬉しいところ。
個人的にも映画に対する見方について、すごく影響を受けた本。中でもベストテン大検証の以下のやりとりが大好きだ。
ガース 好きな映画で人格を判断するわけね(笑)。
ウェイン 当ったり前じゃん! (中略)映画に限らず「オレはコレが好きだ!」って人に言うことは、
嫌でも「こういう人間だと思ってください」ってことになっちゃうじゃん。
映画の見方を変えてみたいと思う人にはオススメ。
基本的に、映画に対する悪口満載でそれが面白いのだけど、豊富な映画知識に裏打ちされてるので、正鵠を射ていているのも確か。
この映画はこういう見方も出来るんだ、と新たに発見させてくれるのが嬉しいところ。
個人的にも映画に対する見方について、すごく影響を受けた本。中でもベストテン大検証の以下のやりとりが大好きだ。
ガース 好きな映画で人格を判断するわけね(笑)。
ウェイン 当ったり前じゃん! (中略)映画に限らず「オレはコレが好きだ!」って人に言うことは、
嫌でも「こういう人間だと思ってください」ってことになっちゃうじゃん。
映画の見方を変えてみたいと思う人にはオススメ。