それほど期待してなかったのですが、すごく良かったです。
絵は緻密な画風ではないですが、児童書の挿絵のように空気感があり、主人公たちの動きはユーモラスです（布団かぶって歩く様など）。舞台がロンドンですが、この画風はヨーロッパの新聞に出てくる風刺画のように味があります。
太田と行貞。高校の同級生だった二人がロンドンで再会します。故郷を離れて異国の地で慣れないことの中で、心地よい馴染みの何かを求める二人の青年の「あるある」エピソード。留学生でも仕事で赴任する人でも、大なり小なり経験する寂しさが一貫して物語に流れています。同時に映し鏡のようにもう一つのカップルが登場します。
太田と行貞は、非日常的な漂流体験のような二人だけの時間と空間を通して関係が進展します、すなわち現地の人を排除して二人だけの世界を構築していきます。はるか離れたロンドンの地で、繰り広げられる拙い日本料理の宴。独特の雰囲気を醸してて素晴らしいです。
シンプルなメッセージをこねくりまわさずに綺麗に構成してて素晴らしい話だと思います。ちょっと寂しくなった時に、なんども読みたくなるようなそんな話です。
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