日本社会はどうしてここまで壊れてしまったのか。戦後日本の歩みのどこに問題があったのかを考えながら様々な本を読む中で、この本にたどり着いた。そして、ようやくここに明快な答えを得た。むろん他にも様々な解釈・回答はあり得るが、私はこの回答こそが最も問題の核心を射抜いていると考える。それは、戦後日本が戦前の植民地主義を全く清算しないまま今日に至ってしまったということだ。「植民地主義」と聞いても、多くの日本人にはピンとこないだろう。私も本書を手に取った時点ではそうだった。しかし、本書を読み終えた今では、その意味を深く理解できる。
植民地主義をキーワードとして考えれば、現在の日本社会に蔓延する歴史修正主義も中国・韓国・北朝鮮・在日コリアン・沖縄・アイヌに対するヘイトスピーチと差別も、対米従属もすべてがつながって理解できる。
本書は戦後日本の植民地主義に関する総論的考察と、在日コリアン、アイヌ、沖縄に対する各論的考察からなる、併せて18編の論文で構成されている。総論的考察については、終章の木村朗論文が問題の所在を要領よくまとめている。各論的考察で私にとって特に参考になったのは、沖縄問題(実は日本問題)に関する乗松聡子論文と、アイヌ問題(これも同様に日本問題)に関する石原真衣論文である。このような素晴らしい論文集を編集された木村朗・前田朗両氏には深く感謝したい。
この商品をお持ちですか?
マーケットプレイスに出品する

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ヘイト・クライムと植民地主義 (反差別と自己決定権のために) 単行本(ソフトカバー) – 2018/2/1
購入を強化する
植民地主義を克服するために、18名の執筆者が歴史と現在を往還。
差別と暴力支配の重層構造から私たちはいかにして脱却するか!?
植民地主義、ヘイト・スピーチ、差別を克服する前提として、その立場性を抜きには語れない。植民地主義の「加害側」に属する者にとって、それは「内なる植民地主義との闘い」となるであろう。
植民地主義の行使に関与した歴史を背負っている場合だけでなく、日本国籍保持者の多くが、植民地主義の歴史から利益、便益を被ってきたことは否定できない。
自らの立場を踏まえ、目の前のヘイト・スピーチや差別にいかに立ち向かうか。単に主観的な告白や、客観的なつもりの研究では、事象の解明や問題解決への道は開かれない。自らの思考を常に問い返す方法論を鍛えることが喫緊の課題である。<はしがきより>
差別と暴力支配の重層構造から私たちはいかにして脱却するか!?
植民地主義、ヘイト・スピーチ、差別を克服する前提として、その立場性を抜きには語れない。植民地主義の「加害側」に属する者にとって、それは「内なる植民地主義との闘い」となるであろう。
植民地主義の行使に関与した歴史を背負っている場合だけでなく、日本国籍保持者の多くが、植民地主義の歴史から利益、便益を被ってきたことは否定できない。
自らの立場を踏まえ、目の前のヘイト・スピーチや差別にいかに立ち向かうか。単に主観的な告白や、客観的なつもりの研究では、事象の解明や問題解決への道は開かれない。自らの思考を常に問い返す方法論を鍛えることが喫緊の課題である。<はしがきより>
- 本の長さ303ページ
- 言語日本語
- 出版社三一書房
- 発売日2018/2/1
- 寸法18.8 x 12.8 x 1.8 cm
- ISBN-104380180034
- ISBN-13978-4380180033
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
植民地主義を克服するために、18名の執筆者が歴史と現在を往還。差別と暴力支配の重層構造から私たちはいかにして脱却するか!?
著者について
◎ 木村 朗(きむら・あきら)
1954 年8 月生れ、北九州市小倉出身。鹿児島大学法文学部教授。日本平和学会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同代表。主な著作は、単著『危機の時代の平和学』(法律文化社)、共編著『21 世紀のグローバル・ファシズム』『中国・北朝鮮脅威論を超えて』(以上耕文社)『沖縄自立と東アジア共同体』(花伝社)、共著『誰がこの国を動かしているのか』(詩想社)『沖縄叛乱』(かもがわ出版)等。
◎ 前田 朗(まえだ・あきら)
1955 年札幌市生れ。東京造形大学教授、朝鮮大学校講師、日本民主法律家協会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同副代表。主な著書に『増補新版ヘイト・クライム』『ヘイト・スピーチ法研究序説』『黙秘権と取調拒否権』(以上三一書房)『旅する平和学』(彩流社)『パロディのパロディ――井上ひさし再入門』(耕文社)、共著に『闘う平和学』(三一書房)『21世紀のグローバル・ファシズム』(耕文社)等。
1954 年8 月生れ、北九州市小倉出身。鹿児島大学法文学部教授。日本平和学会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同代表。主な著作は、単著『危機の時代の平和学』(法律文化社)、共編著『21 世紀のグローバル・ファシズム』『中国・北朝鮮脅威論を超えて』(以上耕文社)『沖縄自立と東アジア共同体』(花伝社)、共著『誰がこの国を動かしているのか』(詩想社)『沖縄叛乱』(かもがわ出版)等。
◎ 前田 朗(まえだ・あきら)
1955 年札幌市生れ。東京造形大学教授、朝鮮大学校講師、日本民主法律家協会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同副代表。主な著書に『増補新版ヘイト・クライム』『ヘイト・スピーチ法研究序説』『黙秘権と取調拒否権』(以上三一書房)『旅する平和学』(彩流社)『パロディのパロディ――井上ひさし再入門』(耕文社)、共著に『闘う平和学』(三一書房)『21世紀のグローバル・ファシズム』(耕文社)等。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
木村/朗
1954年8月生れ、北九州市小倉出身。鹿児島大学法文学部教授。日本平和学会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同代表
前田/朗
1955年札幌市生れ。東京造形大学教授、朝鮮大学校講師、日本民主法律家協会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同副代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1954年8月生れ、北九州市小倉出身。鹿児島大学法文学部教授。日本平和学会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同代表
前田/朗
1955年札幌市生れ。東京造形大学教授、朝鮮大学校講師、日本民主法律家協会理事、東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会共同副代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
登録情報
- 出版社 : 三一書房 (2018/2/1)
- 発売日 : 2018/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 303ページ
- ISBN-10 : 4380180034
- ISBN-13 : 978-4380180033
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 1.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 670,791位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち5.0
星5つ中の5
3 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年1月27日に日本でレビュー済み
違反を報告する
Amazonで購入
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2018年4月19日に日本でレビュー済み
1.内容
以前レビューした 日本型ヘイトスピーチとは何か: 社会を破壊するレイシズムの登場 でも指摘されているが(例えばp80参照)、日本にはいまだに植民地主義が巣食っている(絶対評価で。レビュアーの見解)。そしてそれが、在日朝鮮人、アイヌ(ただし、本書では議員の問題発言は載っていなかった)、琉球に対するヘイトスピーチや差別的政策になっている。『日本型ヘイトスピーチとは何か』は在日朝鮮人のウェイトが大きかったが、本書では前述の植民地主義が全体を貫くキーワードで、平均的な日本人読者が気がつかない(植民地支配だと気がついていないから。もっとも、レビュアーが勝手に「平均的」と認定しているにすぎず、わかっている読者が多いと信じたい)、アイヌや琉球の話も載っている。
2.評価
学校で習っただけではたしかにはっきりと教わらないので、北海道や沖縄を現在も日本が植民地支配しているという視点は新鮮だった(琉球(沖縄)が日本の植民地である理由は、p18~など)。そして、朝鮮人差別と琉球差別が根っこのところでつながっていること、アイヌと琉球について遺骨問題が共通していること、これらについて日本国・マジョリティーの大和民族が屁理屈をこねて正当化しようとしていることがわかる。今後、より良い日本国にするために有益な本なので、星5つ。
以前レビューした 日本型ヘイトスピーチとは何か: 社会を破壊するレイシズムの登場 でも指摘されているが(例えばp80参照)、日本にはいまだに植民地主義が巣食っている(絶対評価で。レビュアーの見解)。そしてそれが、在日朝鮮人、アイヌ(ただし、本書では議員の問題発言は載っていなかった)、琉球に対するヘイトスピーチや差別的政策になっている。『日本型ヘイトスピーチとは何か』は在日朝鮮人のウェイトが大きかったが、本書では前述の植民地主義が全体を貫くキーワードで、平均的な日本人読者が気がつかない(植民地支配だと気がついていないから。もっとも、レビュアーが勝手に「平均的」と認定しているにすぎず、わかっている読者が多いと信じたい)、アイヌや琉球の話も載っている。
2.評価
学校で習っただけではたしかにはっきりと教わらないので、北海道や沖縄を現在も日本が植民地支配しているという視点は新鮮だった(琉球(沖縄)が日本の植民地である理由は、p18~など)。そして、朝鮮人差別と琉球差別が根っこのところでつながっていること、アイヌと琉球について遺骨問題が共通していること、これらについて日本国・マジョリティーの大和民族が屁理屈をこねて正当化しようとしていることがわかる。今後、より良い日本国にするために有益な本なので、星5つ。