あれ?これカナ編?と気さくに読んだら初っ端からきつい。日夜ハードな勤務に耐えている警察官は、メンタルまである意味洗脳してでも法と正義の番人として消費される。限界を迎えたら消えて、また新しい人材を消費して。そうでないと成り立たない仕事。そのヤバさは現場の人も肌で感じていて、でも解決策が見えてこない。
そんな中、精一杯の対応をしても事件は発生する。そのたびに「対応間違えた?」「他にできたことがあったかも?」と自分を責めながらも仕事をこなす末端と、同じ苦悩を抱えていても叱咤し支えながら責任をすべて引き受ける上役と。何もかもすべてがハードすぎる。
また、アンボックスではみな目が死んでいるのが興味深い。警察の中の人側から描いた本編では、みな生き生きしている。でも外側から見た「警察」はこう見えているんだろうというギャップがツライ。
被害者の家族は面白がって叩かれ、マスコミや野次馬がうろついて事件現場付近の近隣住民もウンザリして、警察は責任感じながら職務を全うしても罵倒されて、でも時間が過ぎて新鮮味がなくなるとマスコミも住人も興味をなくして、被害者遺族と警察だけがどん底に取り残されていく。「事件」が一つ発生するだけでこんなに影響が広まるんだと、まざまざと見せつけられた。本編と違って笑いや爽快感は薄く、だからこそのアンボックスか。
刑事課長と鎌田部長の反目についても語られる。新人つぶしのやり方が気に食わない、という理屈の影には、「世の中は天才ばかりじゃない」という視線がある。みんなが才能持ちなら才能だけに頼ってもいいんだろう。でも現実はそうじゃない。才能を持ってない人のほうが多くて、そういう人でも仕事していけるような教育課程は必須だ。「組織」として見ると鎌田部長が圧倒的に正しい。が、天才の刑事課長が天才の源を育て二人で実績出して、という事実は反発もあるがカタルシスもある。仕事にそんなものを求めてはいけないのだろうが、報われない仕事だけに希望を見出したくもなる。
ちな、「相手が女性だといきなり声を荒げる人」、これは警察に限らずスーパーでもコンビニでも飲食店でもいる。あれは形を変えた痴漢だと思っている。触れてない、殴ってないからOK、でも根っこは相手を自分の粗暴さで脅して怯えてるのを見て喜んでるのだから痴漢でいい。
これだけの内容が籠もっていて、たった1冊ってのに驚く。3巻分くらいの漫画読んだ気持ち。
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ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 別章 アンボックス (モーニング KC) コミック – 2021/6/23
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“絆”というの名のもとに優しさを差し出されると、
黒田カナは「仲間になれない」と思ってしまう――。
そして警察官なら誰しもが持つはずの正義の心と、
番記者、住人、被害者……それぞれの正義。
これは、いくつもの正義が交錯する中で
事件を解決するために、
不作五人衆の一人とされた彼女が、
自分の「正義」を貫き通していく物語である。
黒田カナは「仲間になれない」と思ってしまう――。
そして警察官なら誰しもが持つはずの正義の心と、
番記者、住人、被害者……それぞれの正義。
これは、いくつもの正義が交錯する中で
事件を解決するために、
不作五人衆の一人とされた彼女が、
自分の「正義」を貫き通していく物語である。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2021/6/23
- 寸法13 x 1.4 x 18.3 cm
- ISBN-104065237807
- ISBN-13978-4065237809
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Amazonで購入
DV事件から殺人への発展。
被害者を守ることができなかった苦悶。
世間の安直な思考から向けられる世間の目。
追い詰められたカナの自殺未遂。
加害者の少年時代の体験。
カナの退職日の横井教官の名言と同僚の反応。
コメディがなく、終始真剣でシリアスなストーリーが続きますが、最後のカナの退職時の同僚の反応や、昔の思い出の回想が感動します。
DVからの殺人への憤りから、世間の反応は、警察に厳しい目を向けられますが、警察にも限界があり、殺人を防げなかった苦悶と強い憤りがあることを初めて知ったかもしれません。
こんなにリアリティあるストーリーを今まで読んだことが無いかもしれない。
元警察官だった作者だからこそ描くことができる作品だと思います。
唯一無二の素晴らしい作品です。
被害者を守ることができなかった苦悶。
世間の安直な思考から向けられる世間の目。
追い詰められたカナの自殺未遂。
加害者の少年時代の体験。
カナの退職日の横井教官の名言と同僚の反応。
コメディがなく、終始真剣でシリアスなストーリーが続きますが、最後のカナの退職時の同僚の反応や、昔の思い出の回想が感動します。
DVからの殺人への憤りから、世間の反応は、警察に厳しい目を向けられますが、警察にも限界があり、殺人を防げなかった苦悶と強い憤りがあることを初めて知ったかもしれません。
こんなにリアリティあるストーリーを今まで読んだことが無いかもしれない。
元警察官だった作者だからこそ描くことができる作品だと思います。
唯一無二の素晴らしい作品です。
2021年6月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過労死も多い警察官の負担を減らしたい、その為に警察官を増やしたい、そう願って警察を辞めてまでハコヅメを描き始めた筆者が、このアンボックスでは警察の否定から入ります。
その心中はいかばかりか。
でもこのテーマはずっとありました。
ハコヅメで数ある交通事故のエピソードから地続きの同期の桜編、初めてハコヅメの根幹に触れた長編ですが、この話では鬼瓦所長が無理を押して流産し、警察を辞めた事も描かれました。
16巻135話“恋は難し察せよオトコ”では源部長がその事に触れ、するべき主張をして辞めないで欲しかったこと、そして自分達を引っ張る先輩警察官に、察してくれでは無くすべき主張が当たり前にできるように、時代を変えていくべきだという事を語っていました。
筆者の警察を増やしたいから警察の漫画を描く、でもすべき主張はしていく、警察の不幸を減らしたい、組織を変えていきたいという想い。
そんな筆者の根幹のテーマが、この別章では色濃く描かれています。
現代の日本の警察を知るのに決して見落とせない一冊です。
ハコヅメを読まれてる方は17巻まで読んでからを推奨しますが、ハコヅメ未読であれば、あえてこの一冊を手に取ってみて欲しいと思います。
もちろんのこと、漫画としてのスキルも存分に高く面白い作品ですが、今回はこれまでに無いほど濃厚な筆者のテーマから推させて頂きました。
最後に、この作品を世に出してくださり、本当にありがとうございました。
その心中はいかばかりか。
でもこのテーマはずっとありました。
ハコヅメで数ある交通事故のエピソードから地続きの同期の桜編、初めてハコヅメの根幹に触れた長編ですが、この話では鬼瓦所長が無理を押して流産し、警察を辞めた事も描かれました。
16巻135話“恋は難し察せよオトコ”では源部長がその事に触れ、するべき主張をして辞めないで欲しかったこと、そして自分達を引っ張る先輩警察官に、察してくれでは無くすべき主張が当たり前にできるように、時代を変えていくべきだという事を語っていました。
筆者の警察を増やしたいから警察の漫画を描く、でもすべき主張はしていく、警察の不幸を減らしたい、組織を変えていきたいという想い。
そんな筆者の根幹のテーマが、この別章では色濃く描かれています。
現代の日本の警察を知るのに決して見落とせない一冊です。
ハコヅメを読まれてる方は17巻まで読んでからを推奨しますが、ハコヅメ未読であれば、あえてこの一冊を手に取ってみて欲しいと思います。
もちろんのこと、漫画としてのスキルも存分に高く面白い作品ですが、今回はこれまでに無いほど濃厚な筆者のテーマから推させて頂きました。
最後に、この作品を世に出してくださり、本当にありがとうございました。
2021年6月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ハコヅメを読んで警察官に対する思いが変わったと思う。普段関わることが少ないからどんな仕事かも分からなかったけど、藤部長が言うように市民のサンドバッグになったり、未然に事件を防ぐ為に市民と深く関わったりとホントに大変な仕事だと思った。
そしてその仕事をする人もみんなただの人間なんだと改めて思う。普通に悲しんで普通に辛いんだなと。いつものハコヅメと趣の違った今巻ですが、警察官とは、そのパーソナリティとはについて考えさせられる巻でした。
そしてその仕事をする人もみんなただの人間なんだと改めて思う。普通に悲しんで普通に辛いんだなと。いつものハコヅメと趣の違った今巻ですが、警察官とは、そのパーソナリティとはについて考えさせられる巻でした。
2021年6月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他の方も書いているように、17巻と合わせて読むのがおすすめです。泰先生や編集部の、今回のテーマを描くときにわざわざスピンオフとして別立てにしてくださった気配りに敬意を表しつつも、それでも合わせて読んでもらいたいと思うばかりです。Kindleで買うとどうしても本のように並べることはできませんが、17巻と表紙を並べたときまたぐっときました。
これまでもカナと生安のメンバーのエピソードは一段と考えさせられることが多く感じていて、個人的にはとても楽しみに読んでいましたが、このアンボックスを読んで、改めてこれまでのすべてのエピソードがつながり、また様々な場面を思い返して胸が熱くなりました。また一巻から読み返したいと思います。
そして今回も山田の株の上昇が留まることを知らない(と個人的には思う)ので、山田ファンはぜひ。
これまでもカナと生安のメンバーのエピソードは一段と考えさせられることが多く感じていて、個人的にはとても楽しみに読んでいましたが、このアンボックスを読んで、改めてこれまでのすべてのエピソードがつながり、また様々な場面を思い返して胸が熱くなりました。また一巻から読み返したいと思います。
そして今回も山田の株の上昇が留まることを知らない(と個人的には思う)ので、山田ファンはぜひ。