いちおう最終巻まで読んだが、付き合うほどの作品ではなかった。
率直に言って、この作者にはこの題材は荷が重すぎたのではないか。
人間ドラマはどこか地に足がついておらず、どのキャラも実在感をもって感じられない。
登場人物の行動はいちいちご都合主義的で、作者のストーリーのための装置や歯車として動かされていることがありありと伝わってくる。なにせ、第一話では、生まれたての新生児がキャッキャと笑うのである。現実をよく観察せず、調べもせずに頭の中でモノを書くから、生まれたての赤ん坊すらも物語の都合に合わせて笑わせてしまうのである。
結果、物語は作者のやりたい展開ありきで動かされ、強引に二転三転する。
展開の多さで虚仮脅し的に読者の関心を引いているのだが、肝心のミステリー要素はミスリードもフェアな手がかりの提示もへったくれもないので「どうせ、こうだろ」という予想そのまんまだったり、特に決定的な手がかりがないまま「こうでした」となったりする。そこに輪をかけて登場人物に代表されるご都合主義が入ってくるので、だんだんとバカらしくなってきて、中盤くらいで付き合ったことを後悔させられる。
連載漫画である以上は虚仮脅しやハッタリはご愛嬌だとしても、それ以上のものがないのは稚拙というよりほかない。
もちろん、そうした稚拙さは細部に至るまで同じ。
わざわざ平成元年の北海道という舞台設定をしておきながら、それらしい世界観描写は非常に抑制的というか、ほとんどあってないようなものだ。
この辺、調べる余裕がなかったのか、面倒くさかったのか、はたまた調べ方がわからないのか、編集者が非協力的なのか、理由はわからないが、そのへんも作品のリアリズムをひどく薄っぺらなものにしている大きな一因といえる。
さらにひどいのが、最終巻エピローグでのとある描写。第一話から登場するある(主人公にとっては)非常に重要だったはずの人物の存在が、曖昧なまま締めくくられている。そのことはネタバレになるので最終巻のレビューで触れるが、わたしとしては非常に倫理的な問題点を抱えていると思った。
結論としては、よくこの内容でドラマ化までいったものだというのが率直な感想。
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テセウスの船(1) (モーニングコミックス) Kindle版
1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童含む21人が毒殺された。逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた。時空を超えて「真実」と対峙する、本格クライムサスペンス、開幕。
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2017/9/22
- ファイルサイズ82445 KB
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カスタマーレビュー
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星5つ中の4.1
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
開幕は良いのだが、全巻読み終わってみると評価は辛くなってしまう。
どうやらタイプリープではなくタイムスリップのようだ。漫画なのでタイムスリップ自体はどんどんやってもらって構わないが、タイムスリップの理由はよく分からない。一応、その村では霧が出ると神隠しが起こるとかあったんだっけ? 場所的な問題で稀にタイムスリップが起きるんだろうなあと適当に納得する事にはしたが、なんというか雑な感は否めない。
主人公はタイムスリップしたとき二人存在している。
自分と、生まれる前の自分だ。
それはそれで問題ない。過去にタイムスリップしてしまえばタイムパラドックスはどうしたって付きまとってくる。
中盤で主人公は一旦現代に戻ってくる。ここで大変困った事が起きている。
この時、主人公とは違う人生を歩んできたもう一人の「田村心」が、綺麗さっぱり消え失せているのだ。
この作品は、同じ時間軸に同一人物がいる事を許容していたはずである。で、あるならば現代に戻ったところにもう一人田村心がいるべきなんじゃないのか、と。そう思いながら読んでいたが、残念ながら作中でそういう事に疑問を持ってくれる人はいなかった。
最終的にテセウスの船のタイトル回収の都合で主人公は死ぬのだが、ここで疑問はより一層膨れ上がる。
もしここで主人公が死ななかったと仮定する。そして現代に戻れましたという事になった場合、冤罪被害を被らず笑顔の絶えない家族に包まれ幸せいっぱいに育った「佐野心」は消え失せる事になりはしないか?
もう一つ。
もしここで主人公が死ななかったと仮定する。そして現代に戻れなかった場合、この世界には「田村心」と「佐野心」が存在したまま、主人公はおそらく父親の友人として自分の成長を見守る事になる。この場合「田村心」はどこから来た誰なのだろうか?
同じ時間軸に同一人物が存在できる場合、それはドラえもんで良く見られる「織り込み型」か、もしくはパラレルワールドのどちらかになるだろう。
本作は過去改変により未来が変わったため、織り込み型が否定されている。ドラゴンボールのような平行世界型で解釈するのが妥当だ。
という事は、どこかの平行世界で死刑を待つ佐野文吾が居て、そこには父親が失踪しておそらく祖父母に育てられているであろう未来ちゃんがいるという事になる。
やだなにそれ報われない。
まあ他にも、警察が身内を逮捕したわりには真犯人これかよ、とか。
登場人物の行動がちょっとバカみたいだなあ、とか。
そもそも真犯人わかってる状態で過去にタイムスリップしてさ、なんで君はさ、そこでそんなにね、ピンチに陥れるんや。君の頭の中には脳味噌のかわりにタラの白子でも詰まってるのかね。
登場人物の方々がちょっぴりちゃらんぽらんで、おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
どうやらタイプリープではなくタイムスリップのようだ。漫画なのでタイムスリップ自体はどんどんやってもらって構わないが、タイムスリップの理由はよく分からない。一応、その村では霧が出ると神隠しが起こるとかあったんだっけ? 場所的な問題で稀にタイムスリップが起きるんだろうなあと適当に納得する事にはしたが、なんというか雑な感は否めない。
主人公はタイムスリップしたとき二人存在している。
自分と、生まれる前の自分だ。
それはそれで問題ない。過去にタイムスリップしてしまえばタイムパラドックスはどうしたって付きまとってくる。
中盤で主人公は一旦現代に戻ってくる。ここで大変困った事が起きている。
この時、主人公とは違う人生を歩んできたもう一人の「田村心」が、綺麗さっぱり消え失せているのだ。
この作品は、同じ時間軸に同一人物がいる事を許容していたはずである。で、あるならば現代に戻ったところにもう一人田村心がいるべきなんじゃないのか、と。そう思いながら読んでいたが、残念ながら作中でそういう事に疑問を持ってくれる人はいなかった。
最終的にテセウスの船のタイトル回収の都合で主人公は死ぬのだが、ここで疑問はより一層膨れ上がる。
もしここで主人公が死ななかったと仮定する。そして現代に戻れましたという事になった場合、冤罪被害を被らず笑顔の絶えない家族に包まれ幸せいっぱいに育った「佐野心」は消え失せる事になりはしないか?
もう一つ。
もしここで主人公が死ななかったと仮定する。そして現代に戻れなかった場合、この世界には「田村心」と「佐野心」が存在したまま、主人公はおそらく父親の友人として自分の成長を見守る事になる。この場合「田村心」はどこから来た誰なのだろうか?
同じ時間軸に同一人物が存在できる場合、それはドラえもんで良く見られる「織り込み型」か、もしくはパラレルワールドのどちらかになるだろう。
本作は過去改変により未来が変わったため、織り込み型が否定されている。ドラゴンボールのような平行世界型で解釈するのが妥当だ。
という事は、どこかの平行世界で死刑を待つ佐野文吾が居て、そこには父親が失踪しておそらく祖父母に育てられているであろう未来ちゃんがいるという事になる。
やだなにそれ報われない。
まあ他にも、警察が身内を逮捕したわりには真犯人これかよ、とか。
登場人物の行動がちょっとバカみたいだなあ、とか。
そもそも真犯人わかってる状態で過去にタイムスリップしてさ、なんで君はさ、そこでそんなにね、ピンチに陥れるんや。君の頭の中には脳味噌のかわりにタラの白子でも詰まってるのかね。
登場人物の方々がちょっぴりちゃらんぽらんで、おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
2019年1月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
6巻まで読んだ状態でレビューを書いています。
最初見たとき、僕だけがいない街を書いている人かなと思ったくらいストーリーのテイストが似ていると感じました。
タイムリープ系ミステリーで、死刑囚となっている父が犯人とされる集団殺人事件の真相を事件当時にタイムリープしながら解き明かしていく作品となってます。
今の所、無駄に伸ばしている感じもなく、テンポよく進んでいる印象です。
僕だけがいない街より残酷なシーンが多いので万人受けはしないかもしれませんが、
タイムリープ系ミステリーが好きな人は読んで見る価値アリだと思います。
最初見たとき、僕だけがいない街を書いている人かなと思ったくらいストーリーのテイストが似ていると感じました。
タイムリープ系ミステリーで、死刑囚となっている父が犯人とされる集団殺人事件の真相を事件当時にタイムリープしながら解き明かしていく作品となってます。
今の所、無駄に伸ばしている感じもなく、テンポよく進んでいる印象です。
僕だけがいない街より残酷なシーンが多いので万人受けはしないかもしれませんが、
タイムリープ系ミステリーが好きな人は読んで見る価値アリだと思います。
ベスト50レビュアー
Amazonで購入
タイムスリップもので、この辺の設定にご都合主義を感じない人ならば面白いと思います。
簡潔に言えば、父親は犯人にされた事件が起こる前にタイムスリップした息子が父親の冤罪を晴らすために真犯人を見つけるお話。そもそも父親は本当に冤罪なのか?という疑問もありますが、田舎の小さな集落の閉鎖した空気や人間関係がリアルで、主人公視点で見ていると疑わしい人物がたくさんいて、徐々に真相に迫っていく様子にページが進みます。
漫画ですが、小説を読んでいるような物語展開で、実写化されそうだなという印象。
真犯人が見つかり、その後主人公は無事に現代に戻ってこれるのか、戻った後にどのような行動に出るのかが気になります。
簡潔に言えば、父親は犯人にされた事件が起こる前にタイムスリップした息子が父親の冤罪を晴らすために真犯人を見つけるお話。そもそも父親は本当に冤罪なのか?という疑問もありますが、田舎の小さな集落の閉鎖した空気や人間関係がリアルで、主人公視点で見ていると疑わしい人物がたくさんいて、徐々に真相に迫っていく様子にページが進みます。
漫画ですが、小説を読んでいるような物語展開で、実写化されそうだなという印象。
真犯人が見つかり、その後主人公は無事に現代に戻ってこれるのか、戻った後にどのような行動に出るのかが気になります。
2020年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドラマ化をきっかけに全巻読了。
タイムトラベルをからめたミステリーサスペンス漫画というと、やはり先行する傑作『僕だけがいない街』(三部けい)が思い出され、ひじょうに似ている作品だと思います。
ただ、こちらは「テセウスの船」というパラドックス命題をタイトルにしている割には、タイムトラベルに関するパラドックスにはあまりに無頓着で、過去と未来の同一人物があっけらかんと同一空間に存在してしまいます。
そのあたりを気にする人には少々受け入れにくいかもしれません。
(『僕だけがいない街』は、その点意識だけが過去の少年時代に飛ぶという上手い処理をしていました)
ストーリーはおおむね原作に沿いつつも、所々変更してより面白くなっている現在放映中の連ドラに期待したいと思います。(映画化された『僕だけがー』は成功には遠く及ばないものでしたが)
タイムトラベルをからめたミステリーサスペンス漫画というと、やはり先行する傑作『僕だけがいない街』(三部けい)が思い出され、ひじょうに似ている作品だと思います。
ただ、こちらは「テセウスの船」というパラドックス命題をタイトルにしている割には、タイムトラベルに関するパラドックスにはあまりに無頓着で、過去と未来の同一人物があっけらかんと同一空間に存在してしまいます。
そのあたりを気にする人には少々受け入れにくいかもしれません。
(『僕だけがいない街』は、その点意識だけが過去の少年時代に飛ぶという上手い処理をしていました)
ストーリーはおおむね原作に沿いつつも、所々変更してより面白くなっている現在放映中の連ドラに期待したいと思います。(映画化された『僕だけがー』は成功には遠く及ばないものでしたが)
2021年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
細かい疑問点がどんどん積み重なっていき、読者とキャラクターとの距離が広がっていく、そんな作品。
主人公の性格が半端で煮えきらないところがあり、応援する気持ちも薄くなる。
伏線かと思わせるような違和感のある言動を複数のキャラがするものの、特に意味がないものだったりして肩透かし。
読者の気をひきたいのだろうが、結局何でもありませんでした、ではかえってストレスになる。
結末がどうなるかは確かめたい、と思わせるので全くつまらないわけではないが、
肝心の結末も「ふーん、で?」という程度のものだった。
これなら他の読書に時間を使った方が有意義である。私が保証する。
主人公の性格が半端で煮えきらないところがあり、応援する気持ちも薄くなる。
伏線かと思わせるような違和感のある言動を複数のキャラがするものの、特に意味がないものだったりして肩透かし。
読者の気をひきたいのだろうが、結局何でもありませんでした、ではかえってストレスになる。
結末がどうなるかは確かめたい、と思わせるので全くつまらないわけではないが、
肝心の結末も「ふーん、で?」という程度のものだった。
これなら他の読書に時間を使った方が有意義である。私が保証する。