来年で40周年になる漫画の記念すべき1巻目です。
ICPOパリ本部の刑事シャルルと超一流の殺し屋ディーンの馴れ初めが描かれてます。作中人物の時間では、17〜8年くらい前の事になるでしょうか。
解説で「数々の事件に不本意ながらも巻き込まれるうちに、シャルルは」とありますが、刑事シャルルの携わる事件にディーンが絡んでいく(あるいはちょっかいをかける)の方が近いです。どちらかというと。
刑事と殺し屋が登場するので、ハードボイルドだと思われる方がいらっしゃるかもしれません。ハッカのサクマドロップを食べる気だったのにレモンだった、って事になりかねないので、初めに断っておきます。ツーリングはハードボイルドではなく、西欧を舞台にしたハードボイルド調の大恋愛大河漫画です。
大恋愛ストーリーの馴れ初め編で、ディーンがお遊びでなんだか気になるシャルルにちょっかいを出していると理解して読むと、大変楽しく読めます。文庫6巻位まで、ディーンがシャルルにせっせと餌付けしてますが、漫画史の中で餌付けが登場した最初かもしれません。色々と感慨深いです。
シャルルは18〜19歳位、ディーンは30歳ちょい過ぎでしょうか。1話完結の短編で構成され、スイス→パリのTEE(現在のユーロシティ・ヨーロッパ国際特急)、ロッテルダム、パリ、ヴェネチア、ベルサイユ、ハイデルベルク、モナコ、ロンドンが舞台です。
1作目は作者のデビュー作で絵も安定していないので、4作目のヴェネチア話の辺りから読んでも良いでしょう。あるいは文庫版2巻を最初に読んでもいいかもしれません。2巻は、ツーリング3大美女であるアイファン・フランソワーズ・アリアズナが登場しますし。この1巻は今のディーンとシャルルの関係が垣間見える所もあって、全て読んでから読み直しても、色々発見があります。
書き忘れてましたが、BLです。ですがハマる人は、読み進めるうちに〈そんな小さい括りはどうでも良い〉という気持ちになります。文庫本は巻末に解説があり、1巻は故栗本薫さんがどの枠にも括れないとの言葉を残されてます。名解説ですが、電子版には含まれてなく残念です。
シリーズに関係のない、ディーンだけが登場する番外編も1編含まれます。ディーンは挨拶をするように性行為をする人だったのね。とわかり、案外意味のある番外編だと今は思います。
1巻でのシャルルは、そんな事はどうでもよく、ディーンをよくわからない殺し屋らしいけど凄く親切な人位に考えていたように見えるのですが。全くひどいですね(笑)
登場人物間の距離感やその動きが、ある訳がないお話を絶妙にあり得そうにしていて、そこが漫画史に残る怪作たる所以なんだなと思っています。何度も何度も読み返してしまいます。受け付けない人は全く受け付けないでしょうが、好きになる人は中毒のようになるシリーズの最初の1巻です。この巻の表紙カバーの美麗さは最高傑作でしょう。もちろん星5つ。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
