谷地恵美子さんが描く漫画は、家族の誰かが欠けているものが多い。主人公たちは、家族の欠損によって、当たり前に与えられるはずのものをもてず、悩み、生きる過程で、失われた精神を埋めて行こうとする。
「サバス・カフェ」２巻は、主人公・大の失われた少年時代が、胸に痛い。屋根のある家に住み、お金は莫大にもっている。でも天涯孤独。どこかにいるかもしれない自分の血のつながりを求めている。
彼より不幸な人間はたくさんいる、と言ってしまうのは簡単だ。しかし、大人の中で、家族愛を知らず育った少年の姿は、悲しいほど胸を打つ。
この漫画を通して、子供たちのために大人ができることは無いかと考えてしまうのだ。そして、「アイスドール」と呼ばれた“大”の表情が豊かになっていくたびに、人を救うのは、人だと思わずにはいられないのだ。
四季を友人たちを通して、孤独な少年が、どうやって幸せの意味を知るのか、続きが読みたくなる漫画である。
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