千堂とゴンザレスの試合が虎対死神の狂暴な殴り合いになるであろう、というのは事前から予測出来ていた事ではあったが、漫画としても純粋に燃える展開になっている。間柴対伊賀での世界に向けて過去を振り切る試合も熱かったが、この試合はそれを凌駕していると思うし、此処何十冊かの本作でのベストバウトだと断言してもいいだろう。
ことに巻の終盤における千堂の鬼気迫る描写はベテランになったあとで簡単に描けるものではない。
この熱い戦い、というのがベテラン作家には描けなくなってしまうのだ。年齢的にも筆力が落ち、若い頃の初期衝動なんざ残ってる筈もなく、蓄積した技術に頼りがちなベテランに衝動に身を任せたような”熱さ”を描くのは難しい。タイトルは挙げないが某スポーツ漫画にて「この試合は俺が求めるようなヒリヒリした試合になっている」とか「燃える展開だよな」とか作中人物にいわせるのだが、読んでるこっちは「何処が?」と思ってしまうのである。
だがこの試合は単純に熱い。かつての愛読者の多くは既に本作を見限ったかもしれないが、引き際を失ったまま一時的になかば惰性で読み続けていた本作でまたこんな熱い試合が見れるのは単純に嬉しい。前巻の感想でも書いた気がするが、作者の森川ジョージが漫画を描くことに再び真剣に向き合ってくれているのが伝わってくる。よくぞ此処まで漫画に対する情熱を取り戻してくれたものだと素直に感心する。これも名前を挙げるのはよすが、世の中の引き延ばしてるだけのベテラン連中に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ。未だに森川をそれらの引き延ばし作家と同等の扱いをするのは無礼だろう。
リングの外からそれを見る一歩の一声もいいシーンだ。前巻での千堂とのスパーも含め、復帰の機運は徐々に高まっている。連載はあまりにも長くなったが此処まで来たのだから、相応の読後感を得られるだけのペースで描いて貰って構わない。それでも批判する読者は出てくるだろうが、もう完全に、一切無視して欲しい。自分も含め、この巻での試合に純粋に胸を熱くしている読者は多いだろう。そんな読者の為だけに描いてくれたらいいのだ。
Round1298の扉の木村はアニメ版の声優への追悼だろう。前の巻の木村に対しても道化扱いなどと的はずれな批判を浴びせている読者が居たが、所詮批判が目的化してる人には本作の低迷期も今も同じようにしか見えんのだろう。未来に確実に進んでいく千堂や間柴との対比として、間柴戦という一度の輝きで燃え尽きた木村や、半ば自業自得で機会の失われた一歩戦に縋りキャリアを浪費する宮田ら、過去に縋り付いているボクサーがいるのだ。そのあいだに現役から退き、ほぼ規定であろう復帰に向けた一歩が居る、という物語の構造も読めない読者なんぞを相手にしてせっかくここまで持ち直した作品を台無しにされてはたまらない。
漫画の完結が何時になるのかは解らんけど、もう惰性で見届けるだけ、なんて気持ちは持って無く、普通に期待しながら読んでるし、相変わらず休載も多い高齢の作者が、もし描き遂げられなかたっとしても、再び傑作に戻ってくれた本作を批判しようなどとは思わない。
今の作者はもうしまで偉そうに振る舞ってたのとは全く別の、大御所の本懐とでも言うべき姿である。漫画の内容もそれに相応の優れたクオリティをたもっている。次巻も楽しみだ…という事を本作に普通に書けるのが嬉しいね。
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はじめの一歩(129) (週刊少年マガジンコミックス) Kindle版
世界ランク2位ゴンザレスと3位千堂の激闘。冷静に戦うゴンザレスの本性を引きずり出しにかかる千堂にゴンザレスが見せた剥き出しの力。死力を尽くす打ち合いに観衆は大興奮し敵も味方も一つになって酔いしれる。メキシコ、熱帯夜の死闘の行方は!?
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2020/11/17
- ファイルサイズ98321 KB
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2020年12月3日に日本でレビュー済み
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39人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年11月17日に日本でレビュー済み
私は千堂よりアルフの方が好きなのだが、虎対死神の試合は、鳥肌が立つほど熱いし、また必死な選手の姿に切なくもなる激闘だ。アナログでしか表現できない益々洗練されたアクションシーンは、ファンだけで無く、プロの作家も影響を受けるだろう。
「時間をかけちゃダメだ!」と叫ぶ一歩と、それに応える千堂の表情を見ると、これが親友だと、思わせてくれる。森川先生の凄い所は、千堂だけでなくアルフの方のストーリーもしっかりと練り込んでいて、壮大なドラマを創っていること。どっちも負けて欲しくないと言う気持ちにさせてくれるのである。
未だに一歩の復帰、引退と論じている方々は、それは意味の無いことだ。一歩の復帰は目的では無く、単なる結果になるからである。
本日はオフだったが、自転車に乗り一歩の新刊を買いに行くほど、私ははじめの一歩を楽しみにしている。129巻と気が遠くなるほどの長期連載でありながら、絵は荒れず、内容は大人向けに進化していて、新たなステージへ向かっているはじめの一歩。コンビニで立ち読みで済ませるのは勿体ない、しっかりと全巻本棚に収めてこそ、意味のある漫画だ。既に次の新刊が待ち遠しい。発売を楽しみに仕事を頑張ろうと思う。
「時間をかけちゃダメだ!」と叫ぶ一歩と、それに応える千堂の表情を見ると、これが親友だと、思わせてくれる。森川先生の凄い所は、千堂だけでなくアルフの方のストーリーもしっかりと練り込んでいて、壮大なドラマを創っていること。どっちも負けて欲しくないと言う気持ちにさせてくれるのである。
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