『センチメンタルグラフティ』で一発お当てになった方による最新作(平成16年4月初版発行)にして(現時点での)最終作、『リリカルレストラン あした天使の翼をかりて……』を読了。
コレ、富士見ミステリー文庫から発刊されているのだが、残念な事に、推理モノとしての体を成していない。以下ネタバレ
第1の事件では、聖桜山女子学園の生徒を脅かす怪人の正体(解決編で初めて身分が明かされる)と動機(ここまで強硬策を採らざるを得なかった背景にちょっと無理がある)が全く類推できないものであり、もし当事者の自白がなく、しらを切り通されていれば、物的証拠が無いだけに、ニッチもサッチもいかなくなっていた可能性が高い。
そして第2の事件は、探偵役が事前に郷土秘宝の中味を的中させていたのはまぁいいとして、どうしてその場所にあると目星をつけたのかが劇中で説明されていない。
また、サルベージャー(御大の電撃文庫での代表作、『ハッピィサルベージ』から、主人公のワタルきゅんがゲスト出演。『坂物語り』の安達妙子の親戚女史といい、自称小学26年生さん、カメオギミックがかなりお好きなのだなぁ)を依頼してまで湖底から引き上げた逸品が、現代ではそれほど貴重なものではなく、なぜ大赤字確定のトレジャーハントをわざわざ敢行したのか、に対して物語の都合上以外の理由を一切見い出せない。
さらに、このタイトルも含め、登場人物の口を借りて、自然破壊や伝統文化の断絶に断固反対の姿勢を打ち出しているのだが、それによって地元の雇用が促進され、交通網が整備されて、ときなちゃん(in『坂物語り』)が全国各地の坂を巡る事が出来るようになった、等の恩恵についてはほっかむりし、何の利害も無いエトランゼに過ぎないのに、事案に直接関係のないお涙頂戴話を絡め、その場限りの感情論を振り翳している点も、偽善者チックで正直賛同し難い。
こりゃ、幼き日のりりかにとっての“天使さま”が誰だったか判明する前に、シリーズが打ち切りになってしまったのもむべなるかな、といった所であるが、それでも自分は、このジュブナイル小説が2巻以降も続いていて欲しかった、と割と本気で思っている。なぜなら、主人公が住み込みで働いているリストランテ「チェレステ」の、贅沢でまったりとした空間の居心地の良さが、消失させるにはあまりにも惜しいものであったが故に。
特に、イタリアンの貴公子であるオーナーシェフの瑛人さんが紡ぎ出す華麗なるメニューの数々(という程には、登場した料理は多くはないのだが)には、思わず
「遠征してでも、絶対に食いに行きてぇ〜!!」
と思わせる魔力が確実に存在していた。
叶うなら、もっともっと天才料理人のフルコースを存分に堪能できる展開を指向してもらいたかったものである。
恵まれない容貌のシナリオライターさんがオタ文化の表舞台から姿を消して早6年が経過したが、このクリエイター様には、是非もう一花咲かせてもらいたいものである。そしてもし、復活して奇跡の大ブレイクをかましてくれたら、オイラ、今作と同じく、尼で本体が1円、送料が248円くらいにまでなったら、絶対にお布施して差し上げますデスヨ〜♪(゚ー^)‾☆。
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あした天使の翼をかりて…―リリカルレストラン (富士見ミステリー文庫) 文庫 – 2004/4/1
せつない学園ロマンス・ミステリー――
レストラン『チェレステ』――そこは「魔法の手」を持つ若きオーナーシェフ・瑛人と弟子の航平が二人で切り盛りしていた。少女・りりかはその店で、自分が上巻を持つ「幻の本」の下巻を見つける……。二人の関係は!?
あなたの心をやさしい気持ちに。
パパが天国に行った日、私はあの人に出逢った。泣いている私に、ぬくもりをくれた天使さま―。 あれから数年、ほんの少しの勇気が私に<イタリアンの貴公子>と呼ばれる瑛人さんと見習いシェフの航平、そしてずーっと探し続けていた<幻の本>との出会いをもたらしてくれた。 いくつかの事件で、少しずつ明らかになる天才シェフ・瑛人さんの過去―。 「料理は推理に等しい…という言葉は知ってるかな?」 解けない謎を頭を悩ます私に、瑛人さんは天使のような笑顔でこう言った。 女子高生りりかと謎多き天才シェフたちの、ふわりと心を包み込む、モダンとロマンのミステリー。
レストラン『チェレステ』――そこは「魔法の手」を持つ若きオーナーシェフ・瑛人と弟子の航平が二人で切り盛りしていた。少女・りりかはその店で、自分が上巻を持つ「幻の本」の下巻を見つける……。二人の関係は!?
あなたの心をやさしい気持ちに。
パパが天国に行った日、私はあの人に出逢った。泣いている私に、ぬくもりをくれた天使さま―。 あれから数年、ほんの少しの勇気が私に<イタリアンの貴公子>と呼ばれる瑛人さんと見習いシェフの航平、そしてずーっと探し続けていた<幻の本>との出会いをもたらしてくれた。 いくつかの事件で、少しずつ明らかになる天才シェフ・瑛人さんの過去―。 「料理は推理に等しい…という言葉は知ってるかな?」 解けない謎を頭を悩ます私に、瑛人さんは天使のような笑顔でこう言った。 女子高生りりかと謎多き天才シェフたちの、ふわりと心を包み込む、モダンとロマンのミステリー。
- 本の長さ273ページ
- 言語日本語
- 出版社富士見書房
- 発売日2004/4/1
- ISBN-104829162511
- ISBN-13978-4829162514
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
パパが天国に行った日、私はあの人に出逢った。泣いている私に、ぬくもりをくれた天使さま―。あれから数年、ほんの少しの勇気が私に〈イタリアンの貴公子〉と呼ばれる瑛人さんと見習いシェフの航平、そしてずーっと探し続けていた〈幻の本〉との出会いをもたらしてくれた。いくつかの事件で、少しずつ明らかになる天才シェフ・瑛人さんの過去―。「料理は推理に等しい…という言葉は知っているかな?」解けない謎に頭を悩ます私に、瑛人さんは天使のような笑顔でこう言った。女子高生りりかと謎多き天才シェフたちの、ふわりと心を包み込む、モダンとロマンのミステリー。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大倉/らいた
東京都生まれ。中央大学法学部卒。小説家、脚本家、マンガ原作者など複数の顔を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
東京都生まれ。中央大学法学部卒。小説家、脚本家、マンガ原作者など複数の顔を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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